インターネットイニシアティブ(IIJ)は9月14日、愛媛県の「令和5年度愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト(トライアングルエヒメ)」に採択され、ICTを使用してみかん栽培の品質・収量の向上を推進するスマート農業実装プロジェクトを、2023年8月に開始したと発表した。

  • センサーの設置イメージ

  • 基地局配置場所と電波到達イメージ

今回の実装検証では、温州みかん産地である愛媛県 真穴柑橘共同選果部会(真穴共選)と共同で、同部会のみかん畑240ha全体をカバーするLoRaWANネットワークを構築する。

このネットワークを通じ、畑に設置するセンサーで計測した土壌水分量データをクラウド上に収集し、みかん栽培における品質および収量向上に効果的な値を分析・可視化することで、最適な栽培モデルの確立を目指す。

この栽培モデルの値に基づいて土壌の水分量を常時監視し、スプリンクラー灌水(かんすい)を適切に行うことで、過乾燥を防止し落葉による収穫減リスクの軽減が可能になるといい、産地全体での収益向上が期待できるとしている。

また、LoRaWANには多様なセンサーを接続できるため、同プロジェクトでは土壌水分センサーに加えて気象センサーや罠センサーを設置し、生育状況の把握や鳥獣害対策の罠監視などの実装検証も行う。

これらのセンサーや機器類の設置で愛媛県内の事業者と連携することで、現地の保守やサポートをより円滑に行うための体制を構築していく。

同社は、ネットワークやクラウド、セキュリティ・サービスといった各種自社サービスにより、製造業、農業、ホーム・見守りなどの分野で多様なIoTサービスやソリューションを提供している。

特に農業分野では、2017年から静岡県で実施した水稲栽培のスマート農業技術に関する実証事業を始め、そこで得たLoRaWANの技術的知見やノウハウを生かして、全国の自治体で農業IoTの取り組みを積極的に推進しているとのことだ。