ガートナージャパン(Gartner)は、国内の従業員500人以上の組織を対象に4月に実施したユーザー調査から、IT運用担当者はキャリア・パスに不安を抱えているという実態を明らかにした。
Gartnerは2023年4月、国内の従業員500人以上の組織を対象にユーザー調査を実施した。そのうち、IT運用(オペレーション)に関わっている人に対し、現在の職種からのキャリア・パスについて尋ねたところ、過半数の回答者が自身のキャリア・パスに何らかの不安や不満を抱えていることが明らかになったという。
その理由を尋ねると、「DevOpsやクラウド、SRE、コンテナ等新しい技術に触れる機会がない」(62.5%)が最多。「IT部門でありながらエンジニアとしての専門性が身に付かない」(48.9%)も4位となり、IT運用担当者として働いていても、技術者としての専門性、特に最新のクラウド・ネイティブ技術を獲得する機会がないことに対する不安を抱えている現状が浮き彫りになった。
また、2位は「IT運用担当は他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」(59.3%)、3位は「ワークロードが高く重責であるにもかかわらず、待遇が悪い/評価されない」(57.1%)となったほか、「オンコールのシフトや残業が多く、永年勤続ができない」(30.8%)も約3割に達している。これらの結果から、IT運用担当者は、日常的な運用業務の責任が重く、繁忙になりがちであるにもかかわらず、他のIT担当者より待遇や評価が悪いと感じていることが明らかになった。
Gartnerのシニア ディレクター アナリスト・米田英央氏は、次のように述べている。「回答者の中には、技術を身に付けるには現職を辞めて早く別の仕事に就かなければと考えているIT運用担当者も多いでしょう。インフラストラクチャ/オペレーション (I&O) のリーダーは、IT運用担当者にとって魅力ある職場を形成するために、新技術を含めたテクノロジを習得する機会を提供できるよう努める必要があります」
さらに「今回の調査では、IT運用担当者が『新しい技術が身に付かない重労働であるにもかかわらず評価されにくい仕事がIT運用である』と考えている現状が見てとれます。IT運用をリードするI&Oリーダーには、こうした不安・不満を解消するために、短期的には、例えば業務の効率化や信頼性向上を運用の自動化によって実現するなど、日々の改善活動で新技術を習得でき、他部門から評価されるよう仕事の形態を変化させる取り組みを進めることが求められます。そして中長期的には、評価に応じた合理的な待遇を得られる職場に進化させることが重要です」とコメントした。