TrendForceによると、2024年のDRAMならびにNAND市場におけるビット需要は2023年のベースラインの低さとメモリ価格の下落を踏まえ、DRAMが13%増、NANDが16%増になると予想されるという。ただし、2024年の需給バランスが回復する前提条件としては、市場にある在庫の効果的な削減ならびにサプライヤ各社の生産能力抑制の維持が必要との見通しを示している。
各主要アプリケーション別で見ると、PC向けではDRAMの容量に対する年間平均成長率は約12.4%と予想されるが、背景にはIntelのMeteor Lakeを搭載したPCが2024年に登場することがあげられる。主にDDR5/LPDDR5が採用される見通しで、DDR4とシェアを逆転させることが期待されるとしている。また、クライアントSSDの成長率は8~10%程度で、背景には消費者のトレンドがクラウドの活用に移行しており、PCに搭載されるストレージ容量が伸び悩んでいる点が挙げられるとする。そのため1TBの搭載が進むことが期待されるものの、依然として512GBが主流にとどまっているという。現在、メモリサプライヤ各社は減産により価格の安定化を図っているが、もし価格が底を打ち、上昇に転じた場合、PCメーカー各社はSSDのコスト増に直面することとなり、ストレージの平均容量の増加にブレーキをかける可能性があるともTrendForceでは指摘している。
また、サーバ向けでは、プラットフォームの次世代への移行やAIサーバの需要増加に伴いDRAM容量の年間平均成長率は約17.3%と予想されるほか、エンタープライズSSDの平均容量の年間平均成長率も約14.7%となっており、8TB品の調達の増加を促す可能性があるとしている。
スマートフォン(スマホ)向けでは、2024年の端末の年間生産成長率が世界経済の低迷が続くとの見方から前年比2.2%増と留まることが推定され、TrendForceでは、これがメモリの需要の伸びを抑制する主な要因となっていると指摘している。メモリ価格の下落が続いていることから、スマホメーカー各社はハードウェア競争にますます注力するようになっており、結果としてスマホへの平均搭載DRAM容量は2023年で前年比約14.3%増と予想されるとするほか、2024年もモバイルDRAMの平均販売価格が低調に推移すると予想されることを考えると、このトレンドは比較的長く続く可能性があるとしている。
スマホのストレージ用途を主とするUFSならびにeMMCについては、スマホのストレージ平均容量の増加が予想される一方で、サプライヤ各社は価格上昇を目指し、減産を進めることから、スマホOEM各社は2024年のコスト管理を慎重に進めることが予想され、1TBを超すストレージを搭載するミッドエンドからローエンドモデルの数が減少する可能性がある。関連して、スマホOEMの多くがQLC製品に対するニーズがそこまで高くない点が、より低コストなオプションを通じて消費者により大きいストレージのモデルに誘導を図りたいNANDサプライヤ各社にとって障壁となる可能性があるとTrendForceでは指摘している。こうした背景から、2024年のスマホのストレージ容量の増加は13%前後に留まるとTrendForceでは予想している。