「スタバはないけどスナバはある」というキャッチフレーズを世の中に浸透させ、最近では台風7号における過去最大の風水害被害の復旧と並行し「安心してください!温泉はいれますよ!!」などといった、鳥取県温泉アンバサダーに任命したとにかく明るい安村氏のネタを交えて鳥取県の魅力を宣伝することに注力する鳥取県知事の平井伸治氏。
そんな平井氏が、9月13日、DigitalBlastが主催する総合宇宙イベント「SpaceLINK 2023」に登壇し、鳥取県の宇宙ビジネスや宇宙産業とまちづくりの関わりについて述べた。
鳥取県では、県内すべての市町村で天の川を観測できるほどの美しい星空がみえる「星取県」として観光政策を打ち出している。都道府県初とされる「鳥取県星空保全条例」により、投光器やレーザーなどの夜空照射は原則禁止、星空を活用した環境教育の推進、星空が特に美しく保全すべき7地域(日南町、日野町、江府町、関金町、佐治町、八頭町、若桜町)を星空保全地域に指定などの施策を行ってきた。
また、平井氏と大学で同じサークル仲間だったという宇宙飛行士の山崎直子氏を「星取県宇宙部長」に任命し、鳥取県にある潜在的なポテンシャルを積極的に活用する形で宇宙産業に貢献してきたともする。
また、昨今話題になっている宇宙開発ベンチャー「ispace(アイスペース)」が運営する「チームHAKUTO」は、鳥取県が舞台の神話「因幡の白うさぎ」が名前の由来の1つであり、2016年5月に鳥取県と連携協定を締結し、同年9月には鳥取砂丘で月面探査ローバーのフィールド走行試験を実施したほか、2023年7月には鳥取砂丘月面化プロジェクトとして、鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」をオープンさせ、宇宙産業に向けたさらなる砂丘の利活用を進めている。鳥取砂丘は、砂粒の大きさ・強度や起状に富む地形が月面と似ているとされていることを踏まえ、現在ブリヂストンなどの国内外の企業・研究者による月面探査などの実証実験を支援する取り組みなどを進めており、月面と鳥取砂丘の関係性をデジタル技術により把握、月面を想定した実証を推進している。
さらに宇宙産業創出に向けてさまざまな動きが進展していることを強調する平井氏。例えば、SPACESHIFTは米子市に「米子衛星データ研究所」を設立し、SAR衛星データを活用したAIによる農作物など生育予測に関する技術開発・実証を実施しているほか、amulapoは大人向け(16歳以上)の体験アクティビティとして、鳥取砂丘を舞台とした未来の月面都市をめぐる宇宙飛行士のアクティビティツアーを企画、AR技術を使って類似月面体験を提供。尾西食品との協業では宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙日本食認定商品と同じ技術で作られたアルファ米のおにぎりを開発し「星空舞」と名付けて販売している。
なお平井氏は、「鳥取県としては宇宙産業に対して重点支援をしていきたいと思っている。今日お集まりの企業の皆さんにもぜひ鳥取の方へお越しいただければありがたい」と述べており、今後、宇宙・航空産業に対して県を挙げて全面的に押し進め、観光産業とも絡めながら宇宙とまち両方を盛り上げられるよう戦略的に進めていきたい意向のようだ。