住友商事とSpinLaunchは、SpinLaunchが開発する宇宙への打ち上げの日本向け代理店権に関するパートナーシップ契約を締結したことを発表。また併せて、住友商事がSpinLaunchに対して2023年7月に出資を行ったことも発表した。

  • SpinLaunchの企業ロゴ

    SpinLaunchの企業ロゴ(出所:住友商事)

近年、世界各国の経済発展を受けて安定的かつ高速な通信やGPSなどに対する需要が高まっているのに伴って、データ送受信で必要となる低軌道衛星を中心とした宇宙市場が拡大している。しかし現状では、宇宙への打ち上げ能力の提供が追いついておらず、また衛星打ち上げコストの高騰により、衛星を利用したサービスの価格も高止まりしているのが実情だ。

2014年に米・カリフォルニア州で設立されたスタートアップのSpinLaunchは、こうした課題を解決するため、電動式の円形回転装置によって物体を宇宙へと打ち上げる、革新的な打ち上げ方法の実現を目指している。

SpinLaunchが構想する打ち上げ方法のイメージ動画(出所:SpinLaunch YouTubeチャンネル)

  • SpinLaunchの打ち上げ装置

    SpinLaunchの打ち上げ装置(出所:住友商事)

この方法が実現すれば、必要なタイミングでのオンデマンドの打ち上げが可能になるとともに、燃料コストやCO2排出量をロケットの打ち上げと比較して70%以上削減することができるため、柔軟性や即応性に加え、環境にも優しい低コストでの打ち上げ方法として期待が集まっている。

住友商事は、Collins Aerospaceとの合弁事業である「Hamilton Sundstrand Space International」における、宇宙船の部品や宇宙服の宇宙機関向けの製造・販売、そしてHawkeye360への出資など、安全保障を含めた宇宙の利活用拡大に貢献するための取り組みを進めている。そして今般、宇宙開発に向けた新技術の社会実装を目指すSpinLaunchへの投資を通じ、宇宙利用の促進や豊かさと夢のある社会の実現を目指すとする。

両社は今回の契約により、安価でサステナブルな打ち上げ技術と製品の供給を通じて、日本国内外の官民宇宙事業の発展に貢献することを目指すとのこと。そして今後は、日本国内の通信事業者や官公庁への低コストの打ち上げ能力の提供を通じ、宇宙利用の促進を目指すとしている。