東芝と東芝デジタルソリューションズは9月12日、高速道路において重大事故につながる可能性のある路面の穴(ポットホール)を、リアルタイムかつ高精度に検知する路面変状検知AIを開発し、中日本高速道路(NEXCO中日本)と共同で進める高速道路の日常点検の高度化に向けた実証実験において、同AI技術の有効性を検証したことを発表した。
東芝と東芝デジタルソリューションズが開発した路面変状検知AIは、ポットホールの検知において弱教師学習の手法を適用し、変状の有無を選別して学習するだけで画像内の変状位置を推定するもの。
弱教師学習を用いることで、画像1枚あたりの教示作業時間を従来と比較して約1分40秒から約1秒と約1/100に短縮することができ、導入時の作業負荷を抑えるとともに異なる道路で容易に同AIを導入できるという。
東芝デジタルソリューションズは同AIを用い、車両に搭載したカメラで撮影した画像を解析し、道路管制センターにリアルタイムで情報共有するシステムを構築した。
東芝と東芝デジタルソリューションズは、高速道路の日常点検の高度化に向けた実証実験において、NEXCO中日本の車両で伊勢原保全・サービスセンター管内の新東名高速道路・東名高速道路等を走行して路面画像を収集し、NEXCO中日本の知見を用いて、ポットホールの有無のみを選別した学習データを作成した。
この学習データを用いて追加学習したポットホール検知モデルを用いることで、一般道の画像で学習した汎用道路モデルと比較して検知精度はROCAUCで61.25%から84.22%に向上。また、路面外の過検出を77%から4%に抑えつつ、時速80km~100kmで走行しながらポットホールの可能性がある箇所をリアルタイムに検知可能なことを確認したという。
この実証実験を通じて、路面変状検知AIがリアルタイムかつ高精度にポットホールを検知できることや、学習データの整備の作業負荷を大きく抑えつつ検知モデルの精度向上が可能なことが確認でき、2024年度の実用化に目途が立ったという。
東芝と東芝デジタルソリューションズは今後もNEXCO中日本と実証実験を進め、緊急補修が必要なポットホールの検出精度を向上させ、2024年度のポットホール検知システムの実用化を目指すとしている。