TrendForceによると、世界的なインフレと景気低迷の影響により、CSP(Cloud Solution Provider)からのサーバ需要も減退しており、その結果、2023年第2四半期のエンタープライズSSD市場規模は前四半期比24.9%減の15億ドルと過去最低を記録したという。
同社の調査では、中国のCSPが注文を減らしていることが最大要因となっているほか、北米の一部のクライアントが新たなサーバプラットフォームの量産スケジュールを延期する一方、AIサーバへの投資を強化する動きを見せており、エンタープライズSSDの需要が停滞しているという。
第3四半期もAIサーバの需要は堅調だが、汎用サーバに対する回復の兆しは見えておらず、サーバ顧客の在庫レベルも高いままであるため、エンタープライズSSDの購入量も低迷。年間ビット数量も前年比で減少することが予想されるという。一方、ベンダ各社も在庫の増加を抑制することを目的に減産を実施しており、同四半期のエンタープライズSSD平均販売価格(ASP)は前四半期比で約15%減と予想されるという。
ただし、AIサーバに対する需要の高まりはトレーニングモデルのデータ保存などの推論サーバの必要性を高めることになるため、大容量エンタープライズSSDの導入意欲を高め、市場を下支えすることが期待されるともしている。
第2四半期の主要サプライヤ各社の動向を見ると、トップのSamsung Electronicsは、汎用サーバ需要の低迷の影響から売り上げを前四半期比34.1%減の約5億2800万ドルまで下げている。
2位のSK Groupは汎用サーバベンダからの受注を価格優位性を武器に積極的に獲得する動きを見せており、結果として売上高は同18.3%減の約3億7400万ドルとしている。
3位のMicron Technologyも汎用サーバベンダからの安定したSATA SSDの注文を獲得しているほか、176層 PCIe SSDの量産も開始するなど、エンタープライズSSDの出荷量を前四半期比で伸ばしており、結果として売上高は同1.8%減の約2億1400万ドルにとどめることができている。
4位のキオクシアの売上高は、既存のSAS製品ラインに加えて、顧客による検証が完了したPCIe 4.0 SSDの供給を本格的に開始したものの同31.1%減の約2億400万ドルとなった。同社は今後、AI市場への浸透を目指し、生産プロセスを112層に引き上げたPCIe 5.0製品の発売を計画している。
5位のWestern Digitalの売上高は、厳しい市場環境と次世代PCIe 4.0製品がまだ量産に達していない影響から、同20.0%減の1億8000万ドルにとどまった。現在同社はPCIe製品に注力する姿勢を見せており、2024年までにPCIe 5.0インタフェース製品の量産を計画しているほか、QLC SSDの投入も計画しており、特にPCIe SSDの採用を増加させることで収益の改善を図ることを目指す模様である。