凸版印刷は、同社の液晶調光フィルム「LC MAGIC(エルシーマジック)」とAGCのガラスを組み合わせた自動車向け調光サイドウィンドウガラスが、2023年9月6日に発表されたトヨタ自動車の「センチュリー」に採用されたことを発表した。

自動車のサイドウィンドウへの適用には、気温や天候、またドアや窓の開閉など取り扱いの面において、従来の建材用途よりも厳しい環境に対応できる耐久性が要求されるほか、サイドウィンドウの特徴である開口部の広さを活かすため、調光フィルム内の液晶の保護に必要な外周封止の幅を極力薄くするという課題があったという。

こうした課題に対し凸版では、液晶や電極の見直しを行い、外周封止の厚みや幅、塗布自動化など封止材塗布条件の最適化する改良を実施することで、自動車のサイドウィンドウに適合する性能の調光フィルムを開発することに成功したとする。

具体的には、自社の滋賀工場で保有する自動封止設備で、素早く、封止幅や厚みを最小限に抑えることを可能にし、外周封止による端部の保護により、ガラスの中間膜成分や外部の水分による液晶の透明化といったダメージを防ぐことができ、これにより自動車用途に耐えられる高い信頼性を確保し、サイドウィンドウの広い開口部を維持できる封止技術を確立したとする。また、高い透明性と遮蔽性を両立した光学特性と、厳しい使用環境に耐えうる信頼性により、自動車メーカーが要求する高い品質基準をクリアしたともしている。

なお、凸版では、今回の製品をはじめとして、今後は2022年12月に発表した「LC MAGIC」の車載向け黒色グレード「ノーマルブラック」の改良や量産化技術を進め、各種自動車への搭載を目指すことで、2025年度までに液晶調光フィルム事業全体で約30億円の売り上げを目指すとしている。

  • 左が不透明時、右が透明時

    左が不透明時、右が透明時 (出所:凸版印刷)