NVIDIAと東京工科大学は9月11日、学術交流に関する協定を締結。調印式を執り行い、NVIDIAのGPUやプラットフォームを活用した技術者人材育成や共同研究開発などの協力などを推進していくことを発表した。

  • エヌビディアのエンタープライズ事業本部 事業本部長の井﨑武士氏と東京工科大の香川豊 学長

    調印式での記念撮影に応じるエヌビディアのエンタープライズ事業本部 事業本部長の井﨑武士氏(右)と東京工科大の香川豊 学長(右)

同協定の実施期間は2023年9月1日~2025年8月31日までを予定。調印式に出席した東京工科大 デジタルツインセンター長の生野壮一郎氏は、「技術進歩が速いので、2年という期間に特に意味はなく、継続していくことが重要という認識。新しい技術が進展していく中で協業のポイントも変化していく。そうした中で成果を出しつつ、次に向けた議論をしていきたい」としており、当初の期間終了後、さらに期間を2年延長することも予定しているとする。また、9月1日からとなったのは、同大が6月1日付で日本工学院専門学校、日本工学院八王子専門学校との連携事業として「片柳研究所デジタルツインセンター」を設置したことが背景の1つにある。今回の協定では、このデジタルツインセンターが目指すデジタルツイン技術に関する人材の輩出に向けた人材育成での協力などが進められる予定となっている。

同協定のもと、取り組む主な内容は以下の通り。

  1. NVIDIAと東京工科大教職員・学生との人材交流
  2. 講演会、シンポジウムの開催
  3. 学術情報、資料の提供
  4. 研究開発協力
  5. その他、目的達成に向けた協力

こうした大学とNVIDIAの学術交流に関する協定は日本では3校目。1校目は2022年5月に滋賀大学と、2校目は2023年4月に大阪成蹊大学とそれぞれ締結。いずれも関西圏の大学であり、今回の東京工科大は関東では初の協定締結となる。

同大の香川豊 学長は、今回の調印式を受け、「デジタル技術は大学が発展していく中で重要な位置づけを占めてきた。現在もコンピュータサイエンス学部など、デジタル技術を駆使して、新たしい社会に貢献するために注力している。さまざまな学部にデジタル技術が入ってくる時代が到来することは必須であり、この協定をきっかけにさまざまな分野で協力していきたい」とNVIDIAとの協力を今後、さらに深めていきたい意向を示すほか、「大学はかなりいろいろな分野でかわっていかないといけない時代を迎えており、大学自体も教育内容の変革であったり、研究内容なども早い変化を迫られている。そうした中、NVIDIAという企業の発展は目覚ましく、大学としてもどうしてそうしたことができているのかを協定とともに学び、大学の発展につなげていきたい」と単なる交流で終わらせるつもりがないことを強調。一方のNVIDIAの日本法人であるエヌビディアのエンタープライズ事業本部 事業本部長の井﨑武士氏も「NVIDIAは現在、ハードウェアのみならず、ソフトウェアを活用してさまざまな課題解決を目指している。最近はAIやメタバース、デジタルツインなどに注力しているが、その中で東京工科大はAIを学生教育に活用していく活動や、デジタルツインを使った教育や研究など先駆的な活動を進めている。我々としても、新しい技術を作ることで、破壊的イノベーションを生み出し、次のフェーズに向かっていくことを目指しており、今回の協定に対する期待も大きい。日本の産業競争力をあげていくためには人的リソースが重要で、未来を担う若者の教育も1つの重要な課題となる今回の協定をきっかけに、教育や研究にNVIDIAの技術を活用してもらって、それをNVIDIAが支援することで、新たな教育や産業を生み出せるようにつなげていきたい」と、今回の協定が高度IT人材の育成につながっていくことに対する期待を述べており、グローバルレベルで同社が展開している教材や教育プログラムの活用を通じて、世界でより多くの若者が活躍できることを目指したいとしている。

  • NVIDIAと東京工科大の関係者を交えた記念撮影

    NVIDIAと東京工科大の関係者を交えた記念撮影。下列左からエヌビディアの井﨑武士氏、片柳学園の千葉茂 理事長、東京工科大の香川豊 学長