2023年9月6日から9月8日に幕張メッセにて開催されていた最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2023」にて、HORIBAグループは「エネルギー・環境」「先端材料・半導体」「バイオ・ヘルスケア」の3市場に重点を置き、同社の強みである分光技術を応用したソリューションなどを展示していた。
さまざま展示がある中で特に来場者の注目を集めていたのは、分光技術の中でも応用範囲が広いラマン分光を使った「顕微ラマン分光測定装置」だ。
世の中にはさまざまな光があり、人間の目で見える光は可視光線というが、それよりも波長が短いものもあれば長いものもある。波長とは周期的な波のことで山と山までの距離を指し、この波長の違いが、我々の目には色の違いとしてみえるという仕組みがある。「分光法」とは、そうしたさまざまな長さをもつ光を波長ごとに分け、対象物中の成分を知ることができる分析手法のことをいう。
中でも顕微ラマン分光は、試料に光を照射するための「光源」、散乱光を分光する「分光器」、分光した散乱光を検出する「検出器」から構成されており、顕微鏡を組み合わせることで1μmを下回る人間の目には見えない微小な領域の情報をも取り出すことが可能という特長がある。
今回展示が行われていた半導体材料分析のニーズにこたえる専用パッケージも提供されているラマン分光フラッグシップ機「LabRAM Odyssey」は、薄膜の応用分析などに最適で、高精度な波数分解能を実現すると共に、深紫外レーザーによる最表面分析が可能だという。
また、物質に光を照射し励起された電子が基底状態に戻る際に発生する光であるフォトルミネッセンス(PL)分析も可能なほか、最大300mmウェハまで対応しており、ウェハの傾斜の自動補正機構を活用することで、マッピングなどのウェハ内分布評価を容易に行うことができるようになっているとしている。
HORIBAは、ラマン顕微鏡だけでも「LabRAM Soleil」「LC-Raman システム」「XploRA PLUS」「LabRAM HR Evolution」などさまざまなソリューションを展開している。
また分光器に関連して、独自の光学設計で紫外から近赤外の広い波長範囲をカバーする「ハイパースペクトルカメラ用分光器」の展示も行っており、同分光器を活用してプラスチック材種の選別を行うわかりやすい例として、ピーナッツを瞬時に選別するデモンストレーションも展示されていた。
同分光器にはサンプルの自動検出ソフトが組み込まれており、取得画像からプラスチックを検出し、個々のスペクトルより種類を判別、判別されたプラスチック片のカウントを行うことができる。同社ではプラスチックだけではなく、デモンストレーションにもあったナッツなどの食品ソーティングや薬剤検査などあらゆる場面にて活用できるとしている。
なお同社は、こうした独自の強みや技術力を活かして今後は「バイオ・ヘルスケア」領域にも力を入れていき、トータルソリューションを展開していきたいとしていた。