米IBMは9月7日(現地時間)、AIとデータのプラットフォームである「IBM watsonx」に、新たな生成AI基盤モデルの追加や機能強化に関する計画を発表した。

米IBMは9月7日(現地時間)、AIとデータのプラットフォームである「IBM watsonx」に、新たな生成AI基盤モデルの追加や機能強化に関する計画を発表した。機能強化には、watsonx.governanceの技術プレビューの開始、watsonx.dataにおける新しい生成AIデータサービス、および一部のソフトウェア、インフラストラクチャ製品にwatsonx.aiの基盤モデルを統合する計画が含まれている。

AIモデルのトレーニング、検証、チューニング、導入を行うwatsonx.aiにGraniteシリーズ・モデルを今月末に追加。同モデルは、一連の流れの中で次の単語を予測する大規模言語モデル(LLM)の能力を支える「デコーダー」アーキテクチャを使用しており、要約、コンテンツ生成、洞察抽出といった企業向けの自然言語処理タスクを実現するという。

同社は、データソースに関するリスト、およびGraniteシリーズ・モデルの学習データを作成するために実行されたデータ処理およびフィルタリング手順に関する説明を提供し、2023年第3四半期に提供開始を予定。Metaの「Llama 2-chat」(700億パラメータモデル)と、コード生成用の大規模言語モデル「StarCoder」をIBM Cloud上のwatsonx.aiで提供開始した。

また、顧客が所有する企業データを使用して、効率的かつ低コストな方法で基盤モデルを顧客独自の下流タスクに適応することができるプロンプトチューニングを含む「Tuning Studio」を2023年第3四半期に初版のリリースを予定。

さらに、カスタムデータスキーマまたは内部データセットから、ユーザーが人工的な表形式データセットを作成できるよう支援する「合成データジェネレーター」の提供を開始した。これにより、ユーザーはAIモデルのトレーニングのための洞察をリスクを低減しながら抽出でき、意思決定を強化し、市場投入までの時間を短縮できるようになるとのこと。

あらゆる場所の多様なデータに対応してAIワークロードを拡大するwatsonx.dataには、watsonx.aiの生成AI機能を組み込み、会話型の自然言語インタフェースによるセルフサービスにより、ユーザーがAI用のデータを発見、拡張、視覚化、調整できるようにする予定。

加えて、ベクトルデータベース機能をwatsonx.dataに統合し、watsonx.aiのRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索により強化した文章生成)ユースケースをサポートする。生成AI、ユースケースのサポートはいずれも2023年第4四半期に技術プレビューを予定している。

責任、透明性があり、説明可能なデータとAIのワークフローを実現し、12月に提供開始を予定しているwatsonx.governanceは技術プレビューを開始。

技術プレビューを利用するユーザーは、基盤モデルの詳細について自動収集や文書化が可能になるほか、モデル・リスク・ガバナンス機能を利用することができる。

同機能により、企業におけるAIの利害関係者は企業全体のAIワークフローのダッシュボード上で、AIの運用状況を承認状況とあわせて視覚的に確認できるようになり、適切なタイミングでの人間の関与が可能になるとしている。