SOLIZEは9月7日、トヨタ自動車が製造・販売を行う「LEXUS LC500」に純正オプション部品として搭載されるオートマチックトランスミッション(AT)オイルクーラーのダクト部分に、SOLIZEが製造したHP Jet Fusion製の3Dプリント製品が採用されたことを発表した。

  • SOLIZEの3Dプリント製品を採用したトヨタの「LEXUS LC500」

    SOLIZEの3Dプリント製品を採用したトヨタの「LEXUS LC500」(出所:SOLIZE)

自動車メーカーや家電メーカーといった各種製造企業は、製品の生産期間中だけでなく、廃番やモデルチェンジなどによる本体の生産終了後も、修理や交換への対応用に補修部品を相当期間にわたって提供することが求められる。そのため、部品生産のための数多くの金型の管理コストやメンテナンス工数がかさみ、業界における課題の1つとなっているという。

3Dプリンティングを活用して最終製品を製作するデジタルマニュファクチュアリングは、柔軟な設計や顧客需要に合わせた生産体制の実現に加え、金型の管理費用、在庫の保管、物流などに要するコストの削減、製品ライフサイクルを通じた産業廃棄物や温室効果ガス排出量の削減などの効果を発揮することから、前述の課題に対する解決策として着目されている。

こうした流れを受け、トヨタとSOLIZEは、3Dプリンタを利用した製品の量産に向けて協力を開始。3Dプリンタでの製造において継続的かつ安定的な物性を出し続けるマシンコントロール、造形条件出し、材料検証を繰り返すと同時に、SOLIZEは量産工場として認定を受けるため、環境整備、工程管理、人材教育の体制を構築したとする。また、コストメリット最大化のため、設計と造形配置の最適化にも取り組んだといい、自動車部品としての長期安定的な品質を担保しつつ、コストメリットを最大限に引き出し、また金型を使用しないことでBCPを意識したサプライチェーンの問題も解決できるとしている。

そして今般、トヨタが生産するLEXUS LC500の純正オプション部品としてSOLIZEの3Dプリントが採用された。またSOLIZEは、3Dプリンタ製の部品供給を行う部品メーカーとして初めてトヨタの認定仕入れ先として登録されたとする。

今回採用されたSOLIZEの3Dプリント製品が採用されたATオイルクーラーは、LEXUSのフラッグシップであるLEXUS LC500にあるATオイルの熱を効率よく冷却し、サーキット走行などでの油温上昇を抑制することで、スムーズなシフトチェンジや快適なドライブフィールを実現する役割を果たすとのこと。3Dプリント製品は、その中でダクトとして用いられるという。

  • 3Dプリント製品が採用されたATオイルクーラー

    3Dプリント製品が採用されたATオイルクーラー(出所:SOLIZE)

SOLIZEによると、この量産を開始したオイルクーラーダクトの企画生産台数において、従来方式である金型によるインジェクション成型と、3Dプリンタによる製作の場合で、温室効果ガスの排出量をライフサイクルアセスメント規模で自社にて比較したところ、後者の方が37%優位という結果が得られたとする。

同社は今後3Dプリンティングを活用した最終製品をはじめとするデジタルマニュファクチュアリングや、環境配慮設計への取り組みを推進するとともに、サービス拡充と顧客満足度の向上を目指すとしている。