紀尾井町戦略研究所は9月7日、全国の18歳以上の男女1,000人を対象に実施した「2024年問題」に関する調査の結果を発表した。2024年問題とは、自動車運転業務、建設事業、医師等について「働き方改革関連法」で例外的に認められている時間外労働の上限規制の猶予が終了する2024年4月以降に発生する諸問題を指す。

「2024年問題」という言葉を聞いたことがあり、ある程度を含め内容を理解できている人は42%となり、聞いたことがないと回答した人は17%だった。

  • ,あなたは2024年問題という言葉を聞いたことがありますか? 引用:紀尾井町戦略研究所

    あなたは2024年問題という言葉を聞いたことがありますか? 引用:紀尾井町戦略研究所

「物流、バス、タクシー」の2024年問題に関しての調査では、トラックドライバーらの時間外労働の上限規制のためサプライチェーンに影響が出る試算に関し、「かなり問題だ」あるいは「やや問題だ」と認識している人は計87.8%に達した。かなり問題だと認識している人を年代別に見ると、30代以上の各層はいずれも4割台以上で、10代と20代は3割台以下にとどまった。

物流の2024年問題におけるトラックドライバーの人手不足により、「宅配便で荷物を運べなくなる」「配送が遅くなる」との試算があることに関し、これを「許容できるかできないかは程度や場合などによる」が69.1%を占める結果となった。

また、建設業の2024年問題に関して、「人手不足解消と働き方改革が実現する方策」を聞くと、「長時間労働の是正など労働環境の改善」の50%が最多となり、「働く人の給与を上げる」が41.6%で続いた。

時間外労働規制などによる建設の工期適正化で人材確保がさらに難しくなり、人件費が上がって受注価格が一層上昇するとの指摘があることについては、「仕方ないと思う」27.9%がトップで、「政府の支援と同時に建設業者側も一定の利益減少を受け入れるべきだ」17.7%が2位となった。

加えて、建設業界では下請けや孫請けは利益が少なくなり、時間外労働の上限規制の恩恵を得にくいとの指摘があることに「政府が元請け業者への規制、監視を強めるべきだと思う」という回答は64.2%に上る結果となった。