BlackBerryは9月7日、日本を含む米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、およびオーストラリア8ヵ国におけるIT意思決定者2,000名を対象に実施した「職場における生成AIの利用調査」を発表する記者説明会を実施した。
会見には、BlackBerryのDirector of Sales Engineeringであるジョナサン・ジャクソン氏が登壇し、同調査の結果について説明した。
本稿では、その一部始終を紹介する。
ジャクソン氏は、初めに「日本国内において生成AIの職場での利用を禁止している企業の割合」について説明した。
「今回、調査対象になった日本国内の企業のうち、72%は職場でのChatGPTやその他の生成AIアプリケーションの禁止を実施、または検討していることが明らかになりました」(ジャクソン氏)
ジャクソン氏曰く、企業が生成AIの利用を規制する背景には、以下の4つがあるという。
顧客/クライアントなどのデータの漏洩
著作権問題などの問題に関連した責任追及
誤った情報や偽情報の拡散
知的財産の盗難/データ収集
その他にも、日本企業の81%が安全ではないアプリケーションが企業のIT環境にサイバーセキュリティ上の脅威をもたらすことを懸念しているという調査結果も出ており、規制を強める考えが広がっていることが分かる。
一方で、大多数は職場での生成AIアプリケーションの利点についても認識しているという。
「『生成AIアプリケーションの利点』を聞いた質問では、日本企業とグローバルにおいて大きな差はないという結果になりました」(ジャクソン氏)
この調査では、生成AIアプリケーションの利点として「革新性の向上」 「創造力の向上」「効率化」「コスト削減」「より良いマーケティングとプロモーション」「サイバー攻撃からの防御」「若い人材の獲得」が挙げられていたが、ジャクソン氏の語るようにどれも大きな差はないことが明らかになった。
加えて、調査に参加した国内企業の77%が、「複雑なITポリシーの作成は、IT部門に追加の負荷がかかっている」と回答し、生成AIツールをサイバーセキュリティ防御のために使用することに賛成していることから、ジャクソン氏は以下のように述べた。
「多くのIT意思決定者は、従業員がビジネス目的で使用するアプリケーションを制御する権利が組織にあると考えていますが、同時にそのような禁止が企業およびBYOデバイスに対する『過度の制御』であるとも考えています」(ジャクソン氏)
最後にジャクソン氏は、職場における生成AIの活用について、慎重かつダイナミックなアプローチをとるよう呼び掛けた。
「仕事の場での生成AIアプリケーションの禁止は、潜在的なビジネス上の利益の多くを打ち消してしまうことにもつながる可能性もあります。私たちは、誇大広告よりも価値を重視して、エンタープライズ版の生成AIを導入し、安全性の低いコンシューマー向け生成AIツールには慎重を期しています。プラットフォームが成熟して規制が施行されるにつれて、組織の方針にも柔軟さを取り入れていけるでしょう。重要なのは、職場で使用されるアプリケーションの可視化、監視、管理のために適切なツールを導入することです」(ジャクソン氏)