NTTイノベーティブデバイスは9月6日、記者説明会を開き、事業戦略や光電融合デバイス開発の最新ロードマップを紹介した。
同社は、NTT研究所で進めてきた光電融合デバイスの開発などに関する機能をスピンオフし、光電融合デバイスの市場投入と事業拡大の加速をミッションとして、今年6月に新設された。
今年8月には、NTTグループの既存デバイス事業会社であるNTTエレクトロニクスと統合し、光電融合デバイスの設計開発、製造、販売などをフルスコープで備える専業メーカーとして事業を開始している。
NTTの新中期戦略において、光電融合デバイスの製造会社設立は取り組みの柱と位置付けられている。
代表取締役社長を務める塚野英博氏は、光電融合技術に取り組む意義について、次のように説明した。
「微細化、発熱、娼婦電力において、ムーアの法則に限界がきており、従来の延長で半導体の性能向上させることが難しくなってきた。こうした中、“Beyond Mooreを追求する技術の方向性”として、半導体製造プロセスの超微細化、パッケージングにおける超高密度実装、光電融合技術の導入があり、われわれは光電融合技術に取り組む」
塚野氏は、光電融合技術について、「電気では限界があることからニーズが高まっているが、光はらせんを描きながら進み、芯と芯が合っていないとくっつかないなど、扱いづらい」と、技術開発の難しさについて語った。将来は、電気を光によって置き換えることも視野に入れているという。
また、光電融合技術はこれまで通信領域に適用されていたが、同社はよりコンピューティングに近いところと拡大することを狙っており、「スケールアウトを加速したい」と塚野氏は意気込みを見せていた。
続いて、塚野氏は光電融合デバイスについて説明した。同デバイスを薄く小さくしていくにあたり、「光導波路の設計技術」「光調芯・検査等の量産技術開発」「3つのキーデバイスの開発」という3つの技術面でのチャレンジがあるという。
同社は現在、光電融合デバイスとして、COSAを扱っているが、今後はDSPと光回路をパッケージにしたCoPKGも扱っていくという。さらに、2025年には第3世代(光エンジン)、第4世代、第5世代を世に出すという計画を描いている。
塚野氏は、第3世代以降の計画について、次のように説明した。
「現在、開発に取り組んでいる第3世代では、1つの箱にFAUを取り込むため、一度サイズが大きくなる。これをデータセンターに持ち込みたい。第4世代では、レーザーまで箱に入れ、第5世代ではさらに薄く小さくを追求する。ここまでくると、半導体パッケージに光電融合のデバイスが入るようになる。3mm以下にしないと、半導体のそばまで持って行けない」
さらには、チップレットをエレメントとして、Heterogeneous System MCMにも導入することを狙っているという。
塚野氏は、光電融合デバイス市場が目指す市場については、「通信領域からコンピューティング、コンシューマ領域へと広げていきたい」と説明した。これには、通信領域は求められている機器の台数が少ないため、開発費がかかるが、領域が広がって、機器の台数が増えたら、1台当たりのコストを抑えることができ、さらに収益も増やせるという目論見がある。
今後の展望について、「早期に4桁億の売上を狙う。光を電気に置き換えていきたい。これにより、光のメッシュを世界に張り巡らすというIOWNのビジョンに寄与するとともに、カーボンニュートラルに貢献していきたい」と塚野氏は語っていた。