京都女子大学とダッソー・システムズは9月5日、データサイエンス教育およびIT人材の育成、さらにITを活用した街づくりへの貢献を目指して連携・協力していくための包括的協定を締結したことを発表した。
同日には、京都女子大 東山キャンパスにて同協定の締結式を開催。同大学の竹安栄子学長と、ダッソー・システムズのフィリップ・ゴドブ代表取締役社長によって、協定が締結された。
京都女子大は、6学部11学科を擁する女子総合大学で、2023年4月には新たに「データサイエンス学部」を開設している。竹安学長はその狙いについて「女性人材が少ない領域に人材を輩出すること、そして世界に広く目を向けた人材として活躍すること」を挙げ、男性が多数を占めるデータサイエンスの領域において、女性活躍の拡大を目指しているという。
一方のダッソー・システムズは、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)における「スマートけいはんなプロジェクト」に参画するなど、バーチャルツインを活用した関西地域でのスマートシティプロジェクトを推進している。また同社は、人材育成を重視する姿勢も見せており、ゴドブ氏は「データサイエンスにおける次世代のリーダーを創出したい」と話す。
こうした同社のビジョンについて、竹安学長は「我々がデータサイエンス学部を設立した意図と非常に近いと感じた」といい、こうした背景から両者の連携が開始したとのことだ。
今回の連携では、ダッソー・システムズが提供するバーチャルツインプラットフォーム、および同社が有するナレッジやノウハウを活用することで、京都女子大の学生による学びを加速させるとともに、ダッソー・システムズが展開するスマートシティプロジェクトに教員や学生が参加することにより、データサイエンスに関する知識や創造性をプロジェクトへと活かしていくとする。
また両者の連携による具体的な取り組みについては、京都女子大 データサイエンス学部の栗原考次学長が説明。同大学の2023年度前期の講義において、ダッソー・システムズで教育市場を担当するフィリップ・コカトリックス氏がゲスト講師として講演を実施しており、後期には企業訪問などを行うなど、学生のモチベーションを活発化させる取り組みを実施する予定だとする。
なお、誕生したばかりで1期生のみが所属する学部ということもあり、「まずはデータに対する見方や考え方を学ぶ」ことで基礎的な能力を身に着けられる環境を用意するとのこと。その先の取り組みについてはさまざまな可能性があるといい、「順序だててどのように進めていくかを決定したい」としている。
ゴドブ氏も「ダッソー・システムズとして教育向けのプラットフォームも提供している」としたうえで、「今後の連携の発展に応じて、我々が持つソリューションやテクノロジーを活用できる環境を作っていきたい」とする。
京都女子大の竹安学長は、「世界的な企業であるダッソー・システムズと、我々のような女子大学が連携できたことは非常に光栄」と話し、「フランスの企業であるため、ジェンダー的観点で学ぶべきことも多い」と連携のメリットを語る。そして学生たちについては「具体的な知識や技術だけでなく、グローバルな視点で“生き方”についても学んでいってほしい」と期待をのぞかせた。