TrendFoeceによると、2023年第2四半期のDRAM市場規模は前四半期比20.4%増の約114億3000万ドルとなり、3四半期連続で続いていたマイナス成長が底を打った模様である。
背景にはAIアクセラレータ関連の需要の高まりによるHBMの出荷増、ならびにクライアント関連でのDDR5 DRAMの在庫積み増しなどがあり、主要DRAMサプライヤ3社(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)ともに出荷を増加させたことが挙げられるという。中でもSK hynixの出荷量は前四半期比で35%以上の増加を記録。同社のDDR5ならびにHBMともに平均販売価格(ASP)は高いこともあり、結果として同四半期の売上高は同50%近くの増加となる34億4000万ドルとなった。
業界トップのSamsungは、DDR5 DRAMの製造が1Y-nmプロセスに留まり、同四半期の出荷数量も限定的であったため平均販売価格も前四半期比で約7~9%下落したが、モジュールハウスによる在庫の積み増しとAIサーバセットアップの需要増を追い風に出荷数量は前四半期比でわずかながら増加させることに成功したことから、売上高は同8.6%増の45億3000万ドルとなった。
また、業界3位のMicronは、HBMの開発が若干遅れているものの、DDR5については出荷がかなり安定しており、その平均販売価格も比較的安定。出荷数量も増加しており、結果として売上高は同15.7%増の約29億5000万ドルとしている。
なお、DRAM市場全体で見ると、さまざまな製品における契約価格の下落が続いているため、営業利益率は改善が進んでいるもののマイナスの域から脱していない状況だという。例えばSamsungは、-24%から-9%へと改善。SK hynixは-50%から-2%に改善。Micronも-55%から-36%へと改善が進んでいる状況だという。TrendForceでは、DRAM業界の売上高は第3四半期も引き続き増回傾向が続くものと予想している。これまでの業界の傾向としてサプライヤが減産を実施した後は、価格の下落が緩まり、契約価格は安定する流れがあることから、将来の価格下落は限定的なものに留まり、結果として在庫価格の下落に伴う損失が減少し、営業利益率も赤字から黒字に転じることが見込まれるとしている。