マルハニチロと細胞性水産物の開発などを行うシンガポール企業のUmami Bioworks(ウマミバイオワークス)は、マルハニチロがウマミバイオワークスに投資する形で協業契約を締結し、水産物の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始したことを発表した。

  • マルハニチロとウマミバイオワークスのロゴ

    マルハニチロとウマミバイオワークスのロゴ(出所:マルハニチロ)

世界的に水産物の需要が増加する中、過剰漁獲や海洋汚染により漁獲量の減少や海洋の品質低下が起きており、水産物の供給不足が深刻な問題となっている。

現状、日本では水産物自給率が約55%と低い水準で推移しているほか、1990年から2021年までの国内漁業生産量(養殖を除く)がマイナス約65%と減少傾向にあり、水産資源の供給課題に直面していると言え、これは日本の水産業界、漁業者、消費者、そして経済全体に大きなリスクをもたらすだろうとされている。

そうした中、世界では近年、「細胞性水産物」に注目が集まるようになってきており、2022年までに細胞性食品への世界的な投資は28億ドルに到達。こうした現状を踏まえマルハニチロは国内外において持続可能な水産物の供給量を確保するため、日本の細胞性水産物産業の基盤を築くことを目指し、Umami Bioworksに投資をする運びとなったとしている

Umami Bioworksは今回の協業により、細胞性水産製品の研究・開発の加速化および商業化を目指すとともに、多角的な研究協力も行う予定だとするほか、将来的には持続可能な水産製品を開発し、商業展開に向けた細胞培養生産システムを最適化することで、新しい魚種の開発に取り組みたいともしている。

なお、マルハニチロは、今回の協業により希少になっている水産資源に対する漁業と養殖に加えた3つ目の持続可能な生産方法を確立させ、安定した地産地消の水産物供給を市場に提供したいとしている。