セゾン情報システムズは8月30日、記者説明会を開催し、今年度の事業方針およびiPaaS「HULFT Square」のプラットフォーム戦略について説明を行った。

今年度の事業方針は、代表取締役 社長執行役員 CEO 葉山誠氏が行った。同社は2024年1月に社名を「セゾンテクノロジー」に変更するが、同氏は、社名変更に対する想いを次のように語った。

「現在の社名は30年前に付けられたものだが、『システムズ』には大きな企業の情報システム部門というイメージがある。当社の現在のビジネスは、情報子会社時代の仕事は半分に減っているにもかかわらず、従来のイメージが変わらない。社名変更により、イノベーションをやっていく土壌を社外にも届けたい。さらに、技術に強い会社にしていきたい」

  • セゾン情報システムズ 代表取締役 社長執行役員 CEO 葉山誠氏

葉山氏は、企業価値向上のストーリーを描くにあたり、サステナビリティ方針を策定したことを紹介した。同方針の下、4つの課題に取り組む。戦略としては、「事業」「技術」「組織」「人材」のシフトに取り組む。

  • セゾン情報システムズの企業価値向上に向けたミッション、バリュー、サステナビリティ方針、戦略

  • 「事業」「技術」「組織」「人材」のシフトの内容

同社の事業は顧客のシステム構築支援に端を発しているが、その後、システム連携およびデータ連携に関するソリューションの提供を開始し、2019年にはデータプラットフォーム事業をスタートした。

こうした事業構造のシフトについて、葉山氏は「うまくいっている」と語り、売上も順調に伸びているという。2022年度のデータ連携ビジネスの売り上げは全体の48%だったが、今後はこの割合を大幅に増やす方針だと葉山氏は述べた。

加えて、イノベーションの創出を促進するため、CTOを新設し、テクノベーションセンターを社長直轄部門に配置したほか、データ連携ビジネスの中核となるクラウドエンジニアリング、データエンジニアリング領域のアップスキリングを測ることが紹介された。

続いて、取締役 常務執行役員 石田誠司氏が、HULFT Squareのプラットフォーム戦略について説明した。同製品はiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)で、業務システム間、業種、国・地域をまたいで、オンプレミス・クラウド・SaaSなどの環境に分散して管理されているさまざまなデータを連携する。

  • セゾン情報システムズ 取締役 常務執行役員 石田誠司氏

「HULFT Square」は今年2月にリリースされたが、四半期に1度機能拡張を行っているという。同製品の開発は「グローバル」「ガバナンス」「大規模開発」「接続先拡大」という4つのテーマに基づき行われているが、石田氏は「HULFT Squareの目玉はグローバル展開」と述べた。

  • 「HULFT Square」の開発ロードマップ

5月のリリースでは、「GDPR/CPRA準拠」「SSO(ADFS)対応」「API強化」「ダッシュボード強化」「コネクタ強化」のほか、90の修正や改善が行われた。

9月のリリースでは、「運用強化」「監査機能の追加」「SSO(Azure AD)対応」「スクリプトテンプレート提供」「AWS連携、コネクタ強化」が予定されている。

石田氏は当初、SaaS間接続を主体に考えていたが、調査したところ、ノーコードへの期待値が高いことが分かったことを明らかにした。Javaで開発したら1万4000ステップが必要なコーディングも、「HULFT Square」で13個のアイコンをドラッグ&ドロップするだけで済むという。

そこで、ユーザーのデータ連携基盤の内製化を支援するため、「コンセプトデザインサービス」「内製化技術者育成支援メニュー」が提供されている。

石田氏は今後の予定として、生成AIに関する自社の取り組みをベースに、生成AIの導入を支援する新サービスの提供を紹介した。同社はAzure OpenAI Service、Snowflake、HULFT Squareを連携して、生成AIを活用している。この仕組みにより、自社の独自データを用いて、安全な形で生成AIを利用できている。

  • 9月にリリースが予定されている生成AIの導入支援サービスの概要