住友林業は8月31日、信越化学工業と共同で、タブレット状の薬剤を充填して耐火性を持たせた合板「耐火‐ガイナー」を開発し、9月1日より発売することを発表した。
耐火‐ガイナーは、タブレット状の難燃薬剤を24mm国産材合板の表裏両面から一定間隔で所定の深さの孔(直径10mm、深さ15mm)に埋め込むことで、耐火性を有しており、住友林業が国産材活用の観点で販売中の「ガイナーシリーズ」の1つとして商品化したという(基本サイズは1820mm×910mm×24mm)。なお同製品においては、合板の形状を住友林業が開発し、シロキサン化合物と難燃剤からなるタブレット状薬剤の開発を信越化学工業が担当したとのことだ。
耐火‐ガイナーは薬剤をタブレット状にして形状を維持しており、基本サイズからの大きさの変更においては、一般的な木工機械で加工が可能だという。また、加圧注入などによる難燃薬剤処理時に不可欠な、薬剤充填後の乾燥工程が不要であるため、製造時の環境負荷を低減できるうえ、納期の短縮、コストの削減にもつながるとする。
さらに万が一の火災時には、難燃薬剤がガラス化することで強固な炭化層を形成し、周辺の火の粉の飛散リスクを軽減できるとしている。なおこの耐火‐ガイナーを柱や梁に被覆した状態(24mm×2層)での検証により、2023年3月には1時間耐火構造として国土交通大臣認定を取得しているという。
住友林業は、新製品を柱・梁などへの被覆材として活用する場合には、集成材工場などで被覆した状態で現場への納品が可能で、立て方後の現場作業が不要となるため、工期の短縮が見込める点でもメリットがあるとする。そして脱炭素の観点から、石膏ボードのような無機系耐火被覆材を木質部材の耐火‐ガイナーで代替することで、中大規模建築物への木材使用量を拡大させ、環境負荷低減を目指すとのことだ。
木を軸とした事業をグローバルに展開する同社は、今後も建築での木材・木材由来素材の利用とた材料からの木への代替を促進することで、脱炭素化を加速させるとしている。