ヘルスケアシステムズと京セラは、これまで専門の検査機関でないと測れなかった尿中や唾液中の成分を測定する「生体マーカー即時検査装置」を共同で開発したことを発表した。

また、今回初めて同検査装置にて、加齢に伴って減少していく女性ホルモン「エストロゲン」の代替として更年期医療や女性医療にて注目されている「エクオール」の量を調べる「エクオール検査」を実用化。女性の健康支援への活用を目指して現在、自治体や薬局などでサービス提供に向けた実証試験を開始しているとしている。

  • 生体マーカー即時検査装置の外観

    生体マーカー即時検査装置の外観(出所:京セラ)

今回開発された「生体マーカー即時検査装置」は、体内の栄養などの成分情報を尿や唾液などの生体試料を用いてその場で測定し、即時的に結果を提供する測定装置だ。

さまざまな物の値段の高騰が続く昨今、そうした中において医療費を削減するためには、未病段階での体の状態を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要だとし、これまでヘルスケアシステムズではそうした健康状態を計測できる郵送キットを提供することで、人それぞれの体の状態を把握することに貢献してきたという。

一方の京セラは、スマートフォンや各種通信機器向けに表面弾力性波(SAW)デバイスを提供。今回、SAWの伝搬経路上に接する媒質の変化によるSAWの伝搬特性の変化を電気信号として検出できることを利用し、バイオセンサとして実用化、ヘルスケア領域での応用展開を目指してきたという。

両社は2021年より、健康増進および予防に繋がる即時に自分自身の健康状態を知る機会の創出を目指し、さまざまなシーンで活用可能な即時検査装置の共同開発をスタート。

今回の取り組みでは、ヘルスケアシステムズが、これまで培った未病検査に関する知見とノウハウを提供し、京セラが生体試料に含まれる成分に反応するセンサ部分に、自社開発のSAWバイオセンサを活用することで装置の開発に成功したとする。

京セラのSAWデバイスは小型で、検出は電気信号処理で行うため光学系部品が不要となることから、検査装置の小型化を実現できるという。そのため、持ち運びも容易となり、医療機関への来院時の待ち時間を利用して検査を行い、その場で検査結果を伝えることも可能だとしている。

また、ドラッグストアや薬局の店頭などにも設置可能で即時検査が実現できるほか、専門の測定技術を要しない手順を目指しており健康イベントの場での活用も期待できるとしている。

なお、今回実用化する「エクオール検査」は、ヘルスケアシステムズが2012年に郵送検査キット化に成功した同社のエクオール抗体技術を利用して行われ、装置では尿中の「エクオール」濃度を定量値として示すという。

両社は将来的に、「エクオール検査」だけでなく、さまざまな健康状態のデータと結合して、一人ひとりの生体マーカーに合った食事や生活習慣を提案するようなヘルスケアプラットフォームの実現を目指したいとしている。