8月24日から25日に東京ビッグサイトにて開催されていた「大学見本市2023~イノベーション・ジャパン」にて、京都工芸繊維大学(工繊大)は手の触感を忠実に再現する身体接触用ロボットハンドの展示を行っていた。
既存のロボットハンドは冷たく硬いものがほとんどであることは誰もが想像できるだろう。そうした中、工繊大は人との身体接触を想定し、人間の手の触感を最大限に再現した身体接触用ロボットハンドを開発したという。
大きな特徴としては、人間の細い指に似たスリムな骨格で構成されており、自然でなめらかな指の動きを再現する機能が組み込んである点が挙げられる。
人間が手を握る際、手のひら部分の中手骨に対して付け根の関節であるCM関節が、指が接近する方向に動くことで手を握る形に変形していく。この動きを再現することがロボットの柔軟性に大きく寄与しているという。
しかし、既存のロボットハンドは耐久性などの問題から骨格が太いことが多く、柔軟な素材で覆っても柔らかいのは表面のみで、リアルな感触を再現する上で不十分だったとする。
そこで研究を重ねた結果、親指を除く4指の中手骨と手首部分の接続にバネなどの弾力体を用いるほか、中手骨の感覚に柔軟な素材であるウレタンゲルやシリコンゴムなどを充填することで外力に対する復元力を生じさせることに成功。
さらに体温を再現するヒータや柔軟な皮膚素材の取り付けも可能とすることで、実際に握手をすると人間と握手をしているかのような体温や肌質を感じることができる仕組みを実現したという。
ブースにいた担当者は、人間の手のような触感を再現することで、遠隔空間や仮想空間における身体接触が可能になるほか、介護や福祉において活用することで人間に触れているような安心感を感じられるようになるのではないかと、この技術の将来的な応用分野などについて説明していた。