米OpenAIは8月28日(現地時間)、ChatGPTの企業向けプラン「ChatGPT Enterprise」の提供を開始した。企業の要求に応えるセキュリティとプライバシー保護、GPT-4への無制限アクセス、高度なデータ分析機能、カスタマイズ・オプションを提供する。

ChatGPT Enterpriseでは、顧客が全てのビジネスデータを保有し、保存期間などを管理する。顧客のデータまたは会話をAIモデルのトレーニングに使用することはなく、OpenAIは「我々のモデルが(顧客の)使い方から何かを学ぶことはありません」と言明している。米国公認会計協会(AICPA)が策定したSOC(Service Organization Controls)2に準拠しており、全ての会話は転送時にTLS 1.2+で、保存時にはAES-256で暗号化される。

SAML認証によるシングルサインオン、管理コンソール(チームメンバーのアクセスや利用できる機能、カスタマイズオプションを制御)、分析ダッシュボード(利用状況のインサイトを提供)を用意し、企業への大規模な展開をサポートする。

GPT-4の使用量の上限はなく、GPT-4の処理速度はChatGPT Plusより最大2倍高速。また、コンテキストウインドウが32,000トークンに拡張されており、4倍長い入力および会話を利用できる。コードインタープリター(code interpreter)と呼ばれていた高度なデータ解析にも無制限にアクセス可能。組織に合わせてChatGPTをカスタマイズしたい場合、チャットテンプレートを共有する機能を使って共同作業や共通のワークフローを構築できる。さらにOpenAI APIの無料クレジットを提供して、OpenAIが開発するAIモデルを活用したカスタムソリューションの構築をサポートしている。

すでに、Asana、Block、Canva、Carlyle、The Estée Lauder Companies、PwC、Zapierといった企業がChatGPT Enterpriseを導入し、コミュニケーション、コーディングタスクの迅速化、複雑なビジネス上の質問への対応、クリエイティブな作業の支援などに活用しているという。Asanaでは導入後にリサーチに費やす時間が1日平均1時間短くなり、Jorge Zuniga氏(データシステム・統合部門責任者)は「仮説の検証や社内システムの改善を加速させる強力なツールになっている」とコメントしている。

今後については、使用中のアプリケーションとの接続によるChatGPTのナレッジの拡張、特定の役割(例:データアナリスト、マーケティング、カスタマーサポートなど)に特化したツールの拡充、小規模チーム向けのセルフサービス型ビジネス用サービスの提供などを計画している。