Infineon Technologiesは、英国スタートアップのJiva Materialsが開発した天然繊維とハロゲンフリーポリマーをベースとした、リサイクルと生分解が可能なプリント基板(PCB)である「Soluboard」を採用すると発表した。
この植物由来PCB素材は天然繊維から作られており、従来のガラス系繊維と比べて二酸化炭素の排出量を抑制することが可能だという。また、有機構造体は無害なポリマーで包まれており、お湯に浸すと溶けて堆肥にできる有機物だけが残るとのことで、これを活用することで基板にはんだ付けされた電子部品を回収し、リサイクルに回すことも可能になるとInfineonでは説明している。
Infineonでは、リサイクル可能な生分解性PCB材料が、民生用および産業用電子機器の設計に使われるのは初めてのことで、環境に優しい未来へのマイルストーンといえるものだと説明しているほか、ディスクリート・パワーデバイスの耐用年数終了後の再利用可能性についての研究も進めており、こうした取り組みはエレクトロニクス業界において循環型経済を推進するためのさらなる重要なステップとなるだろうとコメントしている。
また、Jiva Materialsでは、水を用いたリサイクルプロセスを採用することで、貴重な金属の回収量を増やすことができるとしているほか、FR-4 PCBの材料をSoluboardに置き換えることで、炭素排出量が60%削減されるとしており、その具体的な数値としてはPCB1平方メートルあたり10.5kgの炭素排出量と620gのプラスチックの削減ができるようになるとしている。
すでにInfineonでは、この生分解性素材をデモボードや評価ボードに適用しつつあり、現在までに3種類のデモボードが製造済みで、今後数年間でその製品数を増やして行くとしているほか、現在進めているストレステストの結果に基づき、Soluboardから取り外したパワー半導体の再利用とリサイクルに関するガイダンスを提供する予定だともしている。