化粧品容器メーカーのプラシーズは8月23日、NECが研究開発を行いNECプラットフォームズが提供する高機能バイオ素材「NeCycle(ニューサイクル)」を用いて、環境にやさしい化粧品容器の開発に成功したことを発表した。

  • プラシーズが開発した「NeCycle」を使用した環境にやさしい化粧品容器

    プラシーズが開発した「NeCycle」を使用した環境にやさしい化粧品容器(出所:NECプラットフォームズ)

身の回りのさまざまな生活用品において、環境に配慮した材料の活用が当たり前になっている昨今、プラシーズでは、単純にバイオ素材を使用した容器を開発しても特別感が無いことから、付加価値の機能を持つ素材を探索していたという。

そして同社は、NECが開発した高機能バイオ素材のNeCycleに着目。同素材を用いて、2019年より試作品の開発を開始したとする。

NeCycleはその原料として、木材や稲わらといった非食用の植物資源から抽出されるセルロースを約50%使用し、残りも安全な添加剤を使用しているとのこと。これにより、高い耐久性と共に、海洋や土壌などの自然環境中での長期的生分解を実現し、同程度の物性を持つプラスチック素材に比べ、製造から廃棄までに排出するCO2を約40%削減するとしている。

  • NeCycleの成分図

    NeCycleの成分図(グラフはイメージ)(出所:NECプラットフォームズ)

  • NeCycleフィルムの海水浸漬試験の結果

    NeCycleフィルムの海水浸漬試験の結果(出所:NECプラットフォームズ)

また、プレコンシューマ材としては粉砕剤を25%混入しても外観劣化が少なく安定して成型が可能で、ポストコンシューマ剤としては繰り返しの成型でも物性劣化が少ないなど、リサイクル性の高さも強みだという。加えて、抗菌性や抗ウイルス性を備えているため、身の回りのさまざまな製品で利用可能だ。

プラシーズは、NeCycleの特徴として、成型しただけで塗装を施したような艶のある漆ブラックを表現できる点を挙げ、意匠性で付加価値がある素材だと感じたとのこと。また、精緻で立体感のある蒔絵調の印刷も実現可能なため、高級感ある外観を演出した化粧品容器の開発にもつながるとする。

しかし同社によると、実際の容器の形での成型は容易でなかったという。そして、NECプラットフォームズとの協力によって幾度となく試作を重ねることで、新素材をより深く理解し、成型ノウハウを身に着けることに成功したとしている。

今回発表された新容器は、キャップにNeCycleを、ボトルにも環境対応素材を使用した形でプラシーズより製品化され、2024年に発売予定だという。同社は、国際的に高い評価を得ている漆器のような質感を表現できる同素材を使用することで、意匠性に優れ高級感ある外観を演出した化粧品容器を実現したとし、今後もより良い製品を目指して、要望やニーズに合わせたさらなる改善・改良を行うとしている。