長崎大学と、NECの子会社であるNEC OncoImmunity(NECオンコイミュニティ)は8月21日、熱帯感染症分野においてAI技術を活用してユニバーサルワクチンを設計する共同研究を開始することを発表した。
ユニバーサルワクチンとは、特定の病原体について個別のウイルス株のみへの有効性だけでなく ウイルスファミリーに含まれる別のウイルス株に対しても有効性が期待できるワクチンのことだ。
今回の共同研究では、NECオンコイミュニティはAI技術を活用しT細胞やB細胞といった免疫機構を活性化するユニバーサルワクチンを設計する。長崎大学は、最先端の研究基盤とケニアやベトナムに保有する感染症研究拠点で採取する感染症回復期の試料を用いて、効果的なワクチン開発に向けた検証データを収集する。
また、同研究の一環として、長崎大学熱帯医学研究所に感染ゲノム学分野が設置された。同分野には、NECオンコイミュニティのチーフサイエンティフィックオフィサーであるTrevor Clancy氏が教授として着任し、開発には、NECのワクチン創薬に携わるメンバーも参画する。これにより、AIやコンピュータ技術を採用した熱帯病基礎研究を推進し、感染症における免疫機構の関係性解明を目指す狙いだ。