東京商工リサーチは8月18日、同社が8月1日〜8月9日に実施した「最低賃金引き上げに関するアンケート」調査の結果を発表した。最低賃金の上昇に「何らかの対策を取る」と回答した企業が6割超であった一方で、11.2%の企業が「できる対策はない」と回答した。
最低賃金の上昇にどのような対策を実施または検討しているかという質問には、「商品やサービスの価格に転嫁する」(36.3%)という回答が最多であった。次いで、「設備投資を実施して生産性を向上させる」(23.4%)、「雇用人数を抑制する」(12.4%)の順となった。何らかの対策に言及した企業が61.0%に対し「できる対策はない」は11.2%であった。一方、「最低賃金上昇の影響はない」は27.7%で、全体では72.2%の企業が最低賃金上昇の影響に対応する必要に迫られていることがわかった。
規模別では、「雇用人数を抑制する」は中小企業が12.9%で、大企業の9.0%を上回った。「設備投資を抑制して財務負担を低減させる」も中小企業が7.1%に対し大企業は4.1%と、中小企業ほどコストカットによる余剰資金で人件費を捻出せざるを得ない状況が浮き彫りになった。なお、「影響はない」は、大企業の34.4%に対し、中小企業は26.9%であった。
今年度の最低賃金を基準に、来年度許容できる最低賃金の引き上げ額について、最低賃金の引き上げ幅は2021年度が平均28円、2022年度が同31円、今年度が同41円。こうした状況下で、来年度に「50円以上」の最低賃金の上昇を許容できる企業は半数の50.6%で、「50円未満」の企業も49.3%で拮抗している。「50円未満」の企業のうち全体の15.9%が「許容できない(0円)」と回答した。
規模別では、「許容できない」は大企業が11.9%、中小企業は16.3%で中央値はすべての規模で50円。業種別で「許容できない」の最高は「農業」の41.6%。以下、「娯楽業」38.4%、「機械器具小売業」37.9%、「はん用機械器具製造業」27.5%と続いた。
また、都道府県別では、「許容できない」の割合の最高は大分県の31.8%。以下、宮崎県28.5%、島根県25.0%と続き、上位は西日本地区が多かった。