日本郵船とTBグローバルテクノロジーズ(TBG)は8月16日、液体を船舶間で供給するための装置「バンカリングブーム」をアンモニア燃料向けに共同開発する基本合意書を締結した。

  • アンモニア燃料用バンカリングブームを搭載した船舶の3Dモデル

    アンモニア燃料用バンカリングブームを搭載した船舶の3Dモデル(出所:日本郵船)

カーボンニュートラル実現に向けて技術開発が進む昨今では、船舶の脱炭素化に向けてさまざまな燃料が検討されている。中でも、燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない船舶燃料として、アンモニアが注目されている。しかしこのアンモニアは毒性が高く、船舶への供給を行う際に高い安全性が必要とされるという。

今回日本郵船は、原油や液化天然ガス(LNG)などの液体の荷役機器製造で国内最大級のシェアを誇るTBGと協力し、アンモニア燃料の供給における安全性向上に貢献する技術開発を開始する。

鋼管とホースで構成されるバンカリングブームは、燃料供給船から船舶に接続して燃料を供給する装置だ。同装置は鋼管であるため耐久性が高いうえ、スイベルジョイントと呼ばれる関節部によって自在に方向を変えられるため操作が容易で、液化天然ガス(LNG)を燃料とした船舶への燃料供給において、すでに実用化されている。

今回のアンモニア燃料向けバンカリングブームの共同開発では、自然災害などにより船舶から同装置を緊急で切り離す際に懸念される、燃料漏洩の防止に挑戦。装置内部の液体が外へ漏れ出すことを防ぐTBGの保有技術を採用し、アンモニア燃料供給における最大の課題である漏洩対策に取り組むとする。

  • アンモニア燃料用バンカリングブームの3Dモデル

    アンモニア燃料用バンカリングブームの3Dモデル(出所:日本郵船)

なお日本郵船はこの共同開発において、2022年に日本海事協会から基本設計承認を取得したアンモニア燃料供給船の開発に関するデータや、関連会社のセントラルLNGマリンフューエルが運航するLNG燃料供給戦「かぐや」から得られた知見などを、TBGに提供するとしている。