NECは8月17日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」における、「ポスト5G時代のモバイルコアの実現に向けた高信頼性・柔軟性を両立するクラウド技術拡張に関する研究開発」のテーマにおいて、クラウド技術による柔軟性と、テレコムネットワークへの導入に対応した高信頼性を併せ持つ5Gコアネットワーク(5GC)の開発に成功したと発表した。
NEDOとNECは、2020年度から同事業において、共同で同開発テーマに取り組んできた。今回開発した5GCは、コンテナ化技術や分散ソフトウェア技術、マイクロサービスアーキテクチャなどのクラウド技術を用いることで、サービスや通信処理をマイクロサービスの単位に分割することができる。これにより、従来の仮想化技術に比べて、ネットワークリソースアサインの機敏性や柔軟性を高め、マイクロサービス単位でのシステムの配備・運用が可能だという。具体的には、モジュールの新設・増設にかかる時間を従来の10分の1に短縮できるそうだ。
また、同5GCは産業ITシステムでの活用を見据え、ネットワークの設定・制御に外部のネットワークシステムからアクセスを可能とするオープンAPIを搭載した。これにより、汎用的なWebサービスで用いられるプロトコルによるシステム間インターフェースを介して、5GCを産業ITシステムの延長として直接利活用できるオープンなネットワークシステムを可能にしている。
さらに、同5GCにはテレコムネットワークの制御特性に応じた可用性モデルを実現することでサービスの中断無く機能アップデートを可能としており、過剰な負荷が集中した際にもシステムダウンしない仕組みなどを搭載している。
今回開発された5GCは通信事業者の専用のデータセンターのみならず、企業のプライベートネットワーク、パブリッククラウドサービス上でのシステムの配備・運用を容易にし、モバイルネットワークとクラウドサービス、産業ITシステムを融合した本格的な5Gサービスの展開に向けての活用が期待できるという。
加えて、同5GCでは、コンテナ技術を活用して大容量化と省電力化の両立が可能な技術開発を行った。大容量化に関しては、CPUなどのリソース利用効率を改善してパケット転送効率の向上する技術と、ソフトウェア処理を汎用ネットワークカードへオフロードする技術を開発した。省電力化に関しては、トラフィックの時間変動に合わせてハードウェアリソースを動的制御することで省電力化を実現する負荷判定技術を開発した。