米オラクルは8月9日(米国時間)、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のコンピュート・サービスを場所を問わず利用可能なラック規模のクラウド・インフラストラクチャ「Oracle Compute Cloud@Customer」を発表した。

同サービスにより、自社のデータセンターで、仮想マシン、OCIのコンピュート、ストレージ、ネットワーキングサービスが利用可能になり、これらインフラ基盤の上でアプリケーションやミドルウェアを稼働させることができる。

米オラクル システムズ・プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、ジェイソン・シェーファー氏は、「オラクルのクラウド戦略はユニーク。どこででもオラクルのクラウドサービスを利用することを可能にする」として、「Oracle Compute Cloud@Customer」もこの戦略の下で提供されると述べた。

  • 米オラクル システムズ・プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、ジェイソン・シェーファー氏

同社は顧客のデータセンターにおいて、ラックスケールでOCI Oracle Databaseサービスを提供する「Oracle Exadata Cloud@Customer」を提供している。同サービスでは、Exadata Database ServiceとフルマネージドのOracle Autonomous Databaseを実行している。

つまり、データベース層は顧客のデータセンターでOracle Databaseをクラウドサービスとして提供していたが、アプリケーション層とミドルウェア層は提供できていなかったことから、「Oracle Compute Cloud@Customer」によりそれを実現する格好となる。

シェーファー氏は、「これまでCloud@Customerでデータベースのみサポートしていたが、顧客より、1ラックの性能で他社製品も含めてミドルウェアとアプリケーションをサポートしてほしいという要望があった。今回、Oracle Compute Cloud@Customerの提供で顧客のニーズに応えたことになる」と述べた。

さらに、シェーファー氏は「Oracle Compute Cloud@Customer」によって、分散クラウドのポートフォリオが埋まったと説明した。オラクルは分散クラウドを推進している。同氏によると、分散クラウドも顧客のニーズに端を発しているという。

「Oracle Compute Cloud@Customer」において、アプリケーションとミドルウェアは、Terraform スクリプトを用いてデプロイメントが行われる。「Exadata Cloud@Customer」とは、最大800Gbpsの専用帯域幅によって直接接続される。そのため、レイテンシーが抑えられ、アプリケーションの応答時間を短縮する。

また、「Oracle Compute Cloud@Customer」はOCIパブリック・クラウドおよびOCI Dedicated Regionとネイティブに統合されている。そのため、OCIコンソールによって統合管理が可能なほか、Compute Cloud@Customer 上のサービスは切断後も引き続き運用できる。オプションとして、OCIパブリック・クラウドまたはOCI Dedicated Regionにデータを保存も可能だ。

  • 「Oracle Compute Cloud@Customer」の構造

シェーファー氏は「Oracle Compute Cloud@Customer」の特徴の一つとして、データ・レジデンシーの要件を満たすことを挙げた。「分散クラウドポートフォリオにおいて、データレジレンシーが担保されるため、業界の規制などをすべて満たせるようになる」(同氏)

  • 「Oracle Compute Cloud@Customer」の特徴

「Oracle Compute Cloud@Customer」は、さまざまな規模の組織のニーズに対応するため、拡張性が高いのも特徴だ。最小構成は、プロセッサ・コアが552個、ストレージが15TB、メモリが6.7TBとなっており、プロセッサ・コアは6624個まで、ストレージは3.4PBまで、メモリは80.4TBまで拡張できる。ストレージは、ブロック、ファイル、オブジェクトから選択可能だ。

さらに、シェーファー氏は「Oracle Compute Cloud@Customer」の特徴として、価格帯とSLAがOCI パブリック・クラウドと同等である点を紹介した。

  • 「Oracle Compute Cloud@Customer」はOCI パブリック・クラウドと同じ価格帯で提供される