ヤフーは8月8日、同社が保有している検索データなどのビッグデータをWebブラウザ上で調査・分析できるツール「DS.INSIGHT」の新機能として、急上昇トピックやトレンドを可視化分析できる「DS.INSIGHT Trend」を8月下旬に提供開始すると発表した。
記者会見では、データソリューション本部 DS.INSIGHTサービスマネージャー 田村健氏、データソリューション本部 シニアデータアナリスト 池宮伸次氏が説明を行った。
ヤフーは、多様なサービスから得られるビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業の創造や成長支援、課題解決などにつなげるインサイトを導き出すことを目的として、事業者向けデータソリューションサービス「DS.INSIGHT」を提供している。
田村氏は、「DS.INSIGHT」の特徴として、以下を挙げた。
- 年間約90 億種類の検索キーワード から消費者ニーズや課題を可視化している点
- 利用許諾を得た1,000万人を超えるGPS位置データ を統計化している点
- アンケートでは得られないリスニング型での消費者の声を可視化している点
「DS.INSIGHT」では、以下の3つの機能を提供している。
- DS.INSIGHT People:位置情報、検索データなどを基に、生活者の興味関心を可視化する機能
- DS.INSIGHT Place:特定エリアの生活者情報や店舗・施設の来訪者情報を可視化する機能
- DS.INSIGHT Persona:ビッグデータからターゲットのライフスタイルや興味関心を把握し、詳細なペルソナを作成する機能
今回、4つ目の機能として「DS.INSIGHT Trend」が加わった。同サービスは、ヤフーの検索データから検索数が上昇しているキーワードやこれから上昇しそうなキーワードを可視化するもの。Personaのみオプション料金が必要で、他の3つのサービスは基本料金で利用可能だ。
田村氏は、「DS.INSIGHT Trend」を提供するに至った背景について、新型コロナウイルスの登場などによって不確実性の時代となったことから、消費者のニーズが目まぐるしく変化する中、データから消費者のニーズや課題を少しでも早く把握することで、ユーザーの製品やサービス開発に貢献したいと説明した。
「DS.INSIGHT Trend」の特徴としては、以下が紹介された。
- ヤフーの年間約90億の検索キーワードからトレンドを抽出
- 1年の長期トレンドから昨日のバズワードまで検知可能
- AIによるキーワード分類で特定の分野ごとのトレンドを把握可能
トレンドマップでは、横軸に検索ボリューム、縦軸にトレンドスコアをとり、散布図形式で検索キーワードを可視化し、それぞれのキーワードが4つのライフサイクルのどの位置にいるのかを確認できる。また、性年代の属性別、カテゴリ別、期間別(3カ月間または1年間)で可視化可能。
トレンドマップの散布図のエリアごとに、キーワードランキングを表示する。ランキングに表示されたキーワード別に、トレンドスコア、推定検索人数、属性割合、年代別割合などを確認できる。
加えて、1日単位で検索ボリュームが急上昇したキーワードを表示する。トレンドマップとは異なり、突発的または勢いがあるトレンドも多く出現し、前日話題になったトピックや、変化を早期に検知したい場合に有効だという。
さらに、設定したカテゴリのトレンドキーワードをピックアップして週1回メールで配信する。メールの受信設定をすることで、最新のトレンド情報を知ることができる。
用途としては、商品企画、販売促進、小売業における需要予測や適切な商品の品ぞろえ、メディアにおけるトレンド情報の発信やエビデンスとしての活用などが想定される。
続いて池宮氏から、「DS.INSIGHT Trend」を活用した今後のトレンド予測が発表された。2022年12月に、同社のビッグデータからAIがヒットを予測した商品10点が発表されたが、7商品が検索が増加したという。
池宮氏は2022年の予測で、「ヒット商品にみられる一つの傾向」「捉えるのが難しいアイテム」「季節性アイテムの見つけ方」がわかったと述べた。
ヒット商品にみられる一つの傾向としては、テレビ、ニュースで紹介されたり、 SNS で話題になったりと、話題の急上昇が複数回起こっているそうだ。
さて、以下が「DS.INSIGHT Trend」によって予測された今後のトレンドとなる。これらのうち、いくつが世の中を席巻することになるのだろうか。