米IBMとオープンソースAIプラットフォームを提供するHugging Faceは8月3日(米国時間)、NASAの衛星データから構築されたIBMの地理空間基盤モデル「watsonx.ai」が、Hugging Face上でオープンに利用可能になることを発表した。これは、Hugging Face上で最大の地理空間基盤モデルで、NASAと共同で構築された初のオープンソースAI基盤モデルになるという。
IBMとNASAが共同開発したこの基盤モデルは、米国本土の1年間にわたるHarmonized Landsat Sentinel-2データ(HLS)を使って学習され、洪水や火事の焼け跡のマッピング用にラベル付けされたデータでファイン・チューニング(微調整)が行われた。
この基盤モデルは、最先端の技術に比べて半分の量のラベル付けされたデータを使用しても、15%の改善を実証しているほか、微調整を加えれば、森林伐採の追跡、農作物の収量予測、温室効果ガスの検出と監視などのタスクに基盤モデルを再展開することが可能。両社の研究者はクラーク大学と協力して、このモデルを時系列セグメンテーションや類似性研究などにも適用している。
IBMは7月に、企業が信頼できるデータを用いて最先端のAI活用の拡大・加速を可能にするAIとデータ・プラットフォームであるwatsonxの提供開始を発表しており、IBM watsonxの一部である地理空間モデルの商用バージョンは、2023年後半にIBM Environmental Intelligence Suite(EIS)を通じて提供開始する予定となっている。