京セラは8月3日、同社の通信ソリューション事業に関する事業戦略説明会を開催。その中で、シリーズで初めて国内法人向けに開発した高耐久スマートフォン「DuraForce EX」を2024年1月下旬以降に発売することを発表した。

  • 京セラが2024年の発売を発表した法人向け高耐久スマートフォン「DuraForce EX」

    京セラが2024年の発売を発表した法人向け高耐久スマートフォン「DuraForce EX」(写真は開発中のもの)

北米で展開する「DuraForce」シリーズを国内向け製品として販売

高耐久性のスマートフォン製品を展開する京セラは、主に北米向けの法人用スマートフォンとして「DuraForce」シリーズを展開している。北米では主に、建設や運輸業界、そしてパブリックセーフティの現場で導入が進んでいるといい、過酷な環境でも問題なく使用できる高耐久性や、現場での円滑なコミュニケーション・データ転送をサポートする高速大容量通信機能を持つ点で、同シリーズは強みを発揮しているという。

北米を主要マーケットとして展開するDuraForceだが、日本の顧客に対しても、逆輸入する形で提供を行っていたとのこと。しかし、日本と北米では顧客ニーズも異なる点があるといい、北米に比べると利用環境の過酷さが和らぐ日本での展開に向け、機能や設計の最適化を図ったとする。

今回発表されたDuraForce EXは、従来の同シリーズ製品に比べてソフトなデザインになっているとのこと。京セラ 通信機器事業本部 通信事業戦略部 クロスインダストリービジネスユニット責任者の大内康史氏は、「日本市場向けの場合、耐久性に対する要求に少し余裕が出る分、若干柔らかい印象を与えるデザインにしている」と、新製品の特徴を語った。

  • 従来のDuraForceシリーズに比べるとライトな印象を与えるデザイン。

    従来のDuraForceシリーズに比べるとライトな印象を与えるデザイン。

長時間かつ効率的な使用を可能にする「ウォームスワップ」に対応

DuraForce EXの機能的特徴としては、高耐久性能とバッテリー交換機能が挙げられた。前者については、米国国防総省の調達基準である「MIL-STD 810H」の21項目に準拠した試験に加え、京セラ独自の試験をクリアしており、落下やねじれなどさまざまな衝撃に耐える設計を採用しているとのことだ。

後者のバッテリー交換機能については、業務用スマートフォンに求められる長期間の使用を実現するため、端末から電池部分を外して交換することが可能だ。またバッテリー交換の際、端末から電池を取り外してからおよそ120秒間は本体電源が切れず、スムーズに予備の電池へと交換できる「ウォームスワップ」にも対応。交換後すぐに使用できるため、業務の妨げになることがないとする。こうしたバッテリー交換機能は、シフト制で作業者が交代する現場などでも、端末を共有した効率的な利用を可能にするとしている。

  • シフト制の現場などで便利な「ウォームスワップ」にも対応している。

    シフト制の現場などで便利な「ウォームスワップ」にも対応している。(出所:京セラ)

さらに、事前に設定した任意の操作をワンプッシュで実行できるダイレクトボタンや、流通などの現場で効果を発揮するバーコード読み取り機能、顔認証や指紋認証によるセキュリティ機能など、さまざまな機能を継続して搭載しているとのことだ。

新製品はNTTドコモとソフトバンクから販売

新製品のDuraForce EXは、2024年1月下旬以降にSIMフリー版としての発売を予定しており、京セラからの直販に加えて、NTTドコモとソフトバンクからも販売を行う予定だとする。

京セラは従来より「TORQUE」シリーズの販売においてKDDIとの協力関係にあるが、今回のDuraForceシリーズはまた一線を画すものであるといい、京セラの大内氏は「これまで製品をお届けできていなかった方々に我々のスマートフォンをお届けするために、キャリア2社からの販売に至った」としており、「KDDIとの間ではTORQUEシリーズの販売に注力していく」と今後の見通しを語った。

  • DuraForce EXを手に説明を行う大内康史氏

    DuraForce EXを手に説明を行う大内康史氏

なお大内氏は戦略説明会の中で、「TORQUEについても間もなく具体的な発表ができる予定」と、今後の発表についても含みを持たせた。