堀場製作所は8月1日、同社医療用機器向けの新たな総合保守サービス支援システムとして「HORIBA MEDISIDE LINKAGE next」の提供を同日より開始することを発表した。
人口減少や少子高齢化が進行する日本国内では、あらゆる産業分野において労働力不足の問題が顕在化しており、特に高い専門性が求められる医療業界の人材不足は深刻化の一途をたどっている。
一方で2018年には医療法が改正され、検体検査の精度確保を目的に、標準作業書および作業日誌または台帳などの帳票作成が定められるなど、医療現場での業務負担は増大している。さらに2024年4月には、医師の働き方改革のための方策として改正労働基準法の施行が予定されており、時間外労働の削減に向け、医療行為以外のデータ処理や管理業務にかかる効率化を進めていくことは、喫緊の課題となっている。
堀場製作所は2016年より、通信ネットワークを用いて同社製品の稼働情報やメンテナンス時期を常時モニタリングする「HORIBA MEDISIDE LINKAGE」のサービス提供を行っている。そして先述の法改正などにより生じた新たな課題に対応するため、新たなシステムとして新サービスの提供を開始するに至ったとする。
新サービスのHORIBA MEDISIDE LINKAGE nextでは、既存システムの機能に加えて、2018年から作成が義務付けられた各種帳票の自動作成機能や、リモート操作で機器の設定変更や洗浄動作を操作できる機能が新たに追加されている。
前者の帳票自動作成機能については、従来エクセルフォーマットへ手入力を行っていた作業を自動化し、データ処理や管理にかかる業務負荷の軽減に寄与するとのこと。同機能により、臨床検査技師がいない診療所において大きな業務負荷となっていた帳票作成を効率化し、人手不足の解消に貢献するという。
また後者の新機能により、堀場製作所のコールセンターや販売代理店から機器のリモート操作を行うことができ、機器トラブル時に必要とされる設定変更や洗浄などに対応が可能。機器操作に不慣れなスタッフでも安心・安全な機器管理を行えるようになるとする。加えて、サービスエンジニアによる現地対応が必要な際にも、現場到着前に事前確認を進めることができるため、機器停止時のダウンタイム低減に貢献するとしている。
なお新システムは、同社の最量販モデルである自動血球計数CRP測定装置「Yumizen H330 CRP」から、新たなメンテナンスアプリケーションとして提供を開始し、その後順次対応装置を追加していく予定とのこと。今後の販売目標として、2030年までに同システムを活用した検査装置の稼働台数を1万台へと拡大させることを掲げた。