宮崎博愛会とシーメンスヘルスケアは7月10日、2024年10月より宮崎県にて完成予定の「さがら病院宮崎」における女性医療への取り組みを通して、乳がんの診断・治療診療をはじめとする女性医療の世界的ロールモデル確立を目指し、パートナーシップ協定を締結したことを発表した。
1985年に新たに乳がんと診断された女性は約3万人だったのに対し、2019年には9万7000人と3倍以上に増加している現状がある。この傾向は日本のみならず世界全体でも同様で、2020年に世界で乳がんと診断された患者数は、20年間にわたって罹患率が最も高かった肺がん患者数を上回り、がんの全症例に占める割合で最多となったとされている。
また、こうした乳がん患者の増加のほかにも、地域や所得による死亡率の差や早期発見のための啓発が進んでいないなどの課題もあり、迅速で適切な治療との連携や包括的な診療体制が求められている。
シーメンスヘルスケアは、鹿児島市で相良病院およびさがらパース通りクリニックを運営する博愛会と、2015年4月に女性医療センターの設立・運営に関するパートナーシップ協定を締結。同パートナーシップにより、相良病院では、MR-PETによる乳がんの術前検査を年間800件以上実施するなど、高精度な検査ながら所要時間を短縮、より多くの患者を受け入れることが可能になったほか、共同開発した「乳がん検診バス」により年間2万4000人の検診を実施するなど、離島やへき地での高精度な検査を提供してきたという。
こうした取り組みにより、女性医療のみならず地方医療・へき地医療にも一定の成果をもたらしたことを受け、シーメンスヘルスケアは、この成果をさらに広範囲に提供すべく、今回のパートナーシップ協定を締結するに至ったと説明する。
同社は新たなパートナーシップ協定により、2024年10月に新たに完成する予定の「さがら病院宮崎」において乳がんに関連した診断・治療ならびに検体検査に関する最新または最適な医療機器を提案し、早期発見から治療までの診療ワークフローの総合的サポートや病院運営支援活動を行うとしている。
一方のさがら病院宮崎は、シーメンスヘルスケアのグローバルリファレンスサイトとして認定されることを目指し、女性医療のロールモデルとして日本およびアジアから見学者を受け入れるほか、知識交換や医療技術の教育を奨励するための場として施設を提供する予定だとする。
6月14日に行われた調印式において、さがら病院宮崎の相良吉昭 理事長は「患者に寄り添った診療をしているという自負もあるが、女性医療のロールモデルになるという共通の高い志を持っているシーメンスヘルスケアとパートナーになることで、さらに大きな貢献ができると信じている」と述べている。
一方、シーメンスヘルスケアの森秀顕社長は「イノベーションは私たちのDNAだが、まさに女性医療においてロールモデルとなれるような、そして他の医療機器メーカーに手本としていただけるようなイノベーションを今後も出していきたいと考えている。今回の新たなパートナーシップが次の時代を切り拓く1つのステップとなることを願っている」とコメントを残している。