サイバーエージェントは7月31日、和製生成AI開発とデジタル広告の機械学習基盤にデル・テクノロジーズの「Dell PowerEdge XE9680」(以下、PowerEdge XE9680)サーバを採用し、従来製品と比較して約5.14倍の性能向上を実現したことを明らかにした。

今後はLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)含めた特定の計算アルゴリズムを高速化する「Transformer Engine」への最適化を実施することで、10数倍の性能向上が期待できるのだという。これにより、日本語LLMの更新をより早く頻繁に行えるようになるだけでなく、最新のデータセットに合わせた機械学習モデルのファインチューニングも高速に実行できるようになるため、キャッチコピー候補の精度向上にもつながるのだという。

サイバーエージェントは2016年から、広告事業領域においてAIの研究開発を積極的に進めている。その中で、2020年に効果予測AIで広告効果の最大化を目指す「極予測AI」の提供を開始した。当時は機械学習基盤のためのデータセンターで運用するGPUサーバとして「Dell PowerEdge XE8545」を使用していたという。

その後に130億パラメーターからなる独自の日本語LLMを開発し、極予測AIをはじめとする広告クリエイティブ制作領域のサービスにおいて活用を始め、ユーザー層に適した広告キャッチコピーの制作に活用している。2023年5月には最大68億パラメーターの日本語LLMを和製生成AI開発基盤用に「OpenCALM(オープンカーム)」という名称で商用利用可能なオープンソースのLLMとして公開した。

今後のLLMへの最適化も見据えて新規のAI開発基盤導入の検討を始めた同社は、PowerEdge XE9680サーバの採用を決定したという。採用の理由については、4時間オンサイトなどの高い保守レベル、これまでも利用していたPowerEdge XE8545の保守サポートの実績、使いやすいリモート管理ツール「iDRAC(Integrated Dell Remote Access Controller)」などを挙げている。