大成建設と富士通は7月31日、建設現場内の作業予定や施工状況といった情報を集約し可視化して関係者間で共有することで現場業務の効率化を目指す作業所業務支援システム「作業所ダッシュボード」を開発したことを発表した。同システムは大成建設の全国約700カ所の作業所で利用を開始している。
システムによって共有する情報は、作業所内での各種工事の実施予定や、作業所閉所情報、日報(本社・支店への毎日の業務報告)、職員個人の予定、建設現場内に設置したカメラ映像、建設現場内の温湿度、暑さ指数(WBGT)、風向、風速、騒音、振動、水質PH、酸素濃度などだ。なお、温湿度や暑さ指数などはLPWA通信(省電力かつ長距離での無線通信)を利用する各種センサーシステムと連携してリアルタイムのデータを利用可能だ。
このシステムを利用することで、作業所内の関係者間で作業所各種情報のリアルタイムな共有が見込める。また、本社や支店から遠隔ですぐに作業所の業務進捗状況を把握できるようになるため、作業所から本社および支店への報告業務を効率化できるという。
昨今の建設業界では就労者数の減少と従事者の高齢化が急速に進んでおり、働き方改革の推進と生産性の向上が喫緊の課題となっている。2024年4月からは建設業でも時間外労働の罰則付き上限規制の適用が開始されるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)などによる建設現場での業務の効率化が進められている。
これに対し大成建設は、建設現場が直面する課題の解決にはICTを活用した作業所業務の効率化が必要だとして、富士通と協業して作業所ダッシュボードを開発したという。開発段階においては、大成建設における作業所ニーズのヒアリングと検証を両社で実施したようだ。