東京商工リサーチは7月31日、国税庁が2023年に公表した「国税庁統計法人税表」から、都道府県別「赤字法人率」を調査し、その結果を発表した。2021年度の「赤字法人率」は65.3%で、2007年度以降の15年間で最小となった。
それによると、2021年度の赤字法人(欠損法人)は 187万7,957社。普通法人(287万3,908社)の赤字法人率は65.3%で、2007年度以降の15年間で最小となった。前年2020年度(66.1%)はコロナ禍で10年ぶりに赤字法人率が上昇したが、2021年度は0.8ポイント改善した。
都道府県別の赤字法人率は、最大が徳島県の70.4%(前年度71.9%)で15年連続のワースト。最も低かったのは佐賀県で61.5%(同61.9%)であった。2019年度まで4年連続で最小だった沖縄県はコロナ禍で観光業や建設業など主要産業が打撃を受け、2年連続で都道府県別の最大の悪化幅をみせ27位まで落ち込んだ。
地区別では、北海道(63.3%→64.1%)を除く8地区で赤字法人率が前年度を下回った。最も改善幅が大きかったのは関東(66.8%→65.6%)で、前年度から1.2ポイント低下。赤字法人率が最も低かったのは、北陸の63.9%(前年度64.3%)で唯一の63%台。次いで、北海道64.1%、九州64.52%、近畿64.55%の順であった。
産業別では、建設業(56.8→59.5%)の赤字法人率が前年度比2.7ポイント増で最大の悪化となった。一方で、最も改善したのはサービス業他の2.2ポイント減(69.3→67.1%)。「料理、飲食店」の赤字法人率は前年の83.5%から10ポイント近く改善し、73.6%まで低下した。業種によっては手厚いコロナ対策の給付などで、一時的に利益が改善した企業も少なくない。
前年の2020年度はコロナ禍で、リーマン・ショック後の2010年度以降、初めて赤字法人率が悪化したが、2021年度は持続化給付金や雇用調整助成金、特別家賃支援給付金などのコロナ支援により、赤字法人率は一転して過去最小となった。ただ、売上や営業利益が回復しないまま、助成金や補助金など給付型支援が利益を押し上げた可能性もあり、アフターコロナに向け、支援終了後の赤字法人率の変化には注視が必要だと、東京商工リサーチはみている。