Samsung Electronicsが2023年第2四半期(4~6月期)の決算概要を発表した。それによると、連結売上高は前四半期比6%減の60兆1000億ウォンで、半導体事業を所管するDS(デバイスソリューション)部門の売上高が若干回復したものの、主にスマートフォン(スマホ)の出荷台数が減少したことにより減収となったという。また、DS部門の損失幅が縮小したことに加え、Samsung Display(SDC)とデジタルアプライアンス事業の収益性が改善したこともあり、全体の営業利益は6700億ウォンとなった。

半導体事業の営業損失は4兆ウォンで赤字継続

DS部門の同四半期売上高は前四半期比で7.3%増となったものの、前年同期比で48%減の14兆7300億ウォンとなったほか、営業損失も4兆3600億ウォンと2四半期連続の赤字計上となった。

主力のメモリ事業は、DRAMならびにNAND双方の価格下落が進む中、ビット成長はガイダンスの通りとなった。サーバを中心に在庫調整が続いており、全体的な需要回復には至っていないが、生成AIに対する需要の高まりにより、データセンター部門の投資がAIサーバに集中。結果として、DRAMはサーバを中心とした売上拡大に加え、コンシューマ、グラフィックス、車載向けいずれもが売り上げを拡大させ、中でも生成AI向けに高まるDDR5やHBMの需要への対応を図ることで、ビット成長見通しを上回る結果を達成したとする。

一方のNANDは、UFS 4.0での競争力を備えたフラッグシップスマホの需要への対応を進めたことに加え、ゲーミングデバイスや小売向けブランド製品などの売上増加によりビット成長率を達成したものの、価格の下落が続いたとする。また下期については、顧客の在庫調整が一服するほか、減産の効果もあり、市場全体で落ち着く方向に向かうとの予測を示している。

想定を下回ったシステムLSI事業

システムLSI事業(ファウンドリ事業は除く)は、半導体需要の回復の遅れや顧客の在庫調整の継続により、想定を下回る売上高にとどまったとしている。ただし、2025年に向けた韓国自動車OEMとの間でSoCのデザインウィンを獲得したとするほか、セキュリティ事業における指紋認証カードや電源IC事業におけるBMS(Battery Management System)などへと用途の拡大を達成したとしている。下期については、消費者心理の低迷と中国での経済活動再開の取り組みが予想を下回ったことにより、モバイルなどの主要アプリケーションの需要回復が遅れる可能性が高いことから、スマホ以外の主力モデルや新たなビジネスソリューションを確保するとしているほか、車載用SoCについては引き続き欧州の自動車OEMからの受注獲得を目指すとしている。

売り上げが増加するも利益が減少したファウンドリ事業

ファウンドリ事業の売上高は、一部の米国顧客への売上増加により前四半期比で増加したが、ファブの拡張と短期需要の不確実性による稼働率の低下により、営業利益は減少したという。ただし、GAA技術を用いた3nmプロセスの安定化による量産が順調に進んでおり、第2世代の3nm GAA技術と2nm GAA技術の開発も順調に進んでいるとしている。

下期も不確実性が大きいものの、需要は徐々に改善すると見ており、消費電力・性能・面積(PPA)の向上による3nm GAAプロセスの完成度を高め、大口顧客からの受注を拡大することで成長の基盤を築くとしているほか、8nm eMRAMや車載向け8インチ技術などの成熟プロセスも継続して開発することで、製品ポートフォリオの拡大に努めていくとしている。

新技術で収益の拡大を目指すSDC

子会社であるSDCの連結売上高は6兆4800億ウォン、営業利益は8400億ウォンとなった。また、下期については、モバイル向けパネルが複数の顧客が新製品の投入を予定していることから、収益の改善が見込まれるとしている。特に、HIAAやHOPなどの新分野で培った技術力を活かし、他社に先駆けて顧客の新製品の量産にもシームレスに対応していくとしている。

また、大型パネルについては、下期も需要の不確実性が続くと予想されることから、顧客と協力して好調な超大型テレビの販売拡大に努めるとしている。さらに、SDCは5月にマイクロディスプレイメーカーのeMaginを買収しており、今後の成長が見込まれる拡張現実(XR)ディスプレイ市場をリードする技術開発を行っていくとしている。