三菱電機は7月28日、次世代パワー半導体ウェハとして注目を集める酸化ガリウム(Ga2O3)ウェハを開発・製造・販売するノベルクリスタルテクノロジーに出資したことを発表した。

近年、カーボンニュートラル実現への動きが加速する中で、電力効率の向上に寄与するパワー半導体に対する需要が広がっている。中でもその素材として、従来から半導体素材として利用されるケイ素(Si)に加え、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の開発が進んでいる。

脱炭素社会の実現を目指す三菱電機は、SiやSiCを用いたパワー半導体製品を実用化し、パワーエレクトロニクス機器の省エネ化に貢献しているとする。そして同社は、さらなる高耐電圧かつ低電力損失のパワー半導体製品の実現に向けた材料として、Ga2O3に着目しているとのことだ。

ノベルクリスタルテクノロジーは、世界でもいち早くパワー半導体用Ga2O3ウェハの開発や製造、販売に着手した実績を持つ。同社の現在の事業内容は、Ga2O3エピタキシャル膜付基板の製造販売、単結晶や半導体およびその応用製品の製造販売で、三菱電機のGa2O3パワー半導体製品の開発に必要なウェハ製造技術を持つ企業だとしている。

三菱電機は今後、長年培った低電力損失・高信頼性のパワー半導体の製品設計や製造における技術と、ノベルクリスタルテクノロジーが保有するGa2O3ウェハ製造技術を融合させることで、省エネ性に優れたGa2O3を用いたパワー半導体の研究開発を加速するとのこと。そしてそれらを社会に広く普及させることで、脱炭素社会の実現に貢献するとしている。