7月26日から28日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「TECHNO-FRONTIER 2023(テクノフロンティア2023)」において、キーサイト・テクノロジーは、7月21日に発表した最大20チャネルまで拡張可能な高密度プレシジョンソースメジャーユニット(SMU)の新製品「PZ2100シリーズ」を公開している。
SMUは、データセンタ向けICやフロントエンドモジュールなど、用途や規格が多岐にわたる半導体デバイス開発において、その信頼性試験などで必要となる精密電源とその測定という両面で、複合的な役割を果たす。
近年のデバイス開発においては、1つのデバイスにおいて多数の電源ラインを用いて試験を行う必要があり、そのためには計測機器も数多く用意する必要が生じていた。しかし、電源と計測機の役割を兼ねる一方で、機器そのものの大きさに加えて冷却用の空間も必要とするSMUは、数多く設置するために広大なラックスペースを占有し、その空間的コストが課題となっていた。
今回展示されたメインフレームのPZ2100Aは、1Uのフルラックサイズながら、背面に4つのスロットを搭載。併せて販売される3種類のSMUモジュールを接続することで、さまざまな用途に適応させることが可能だ。微小な電流まで計測できる高分解能の「PZ2110A」(接続には2スロット必要)、高速なパルスの計測に向いている「PZ2120A」「PZ2121A」、1スロットあたり5チャネルまで計測が可能な「PZ2130A」「PZ2131A」と、3タイプのモジュールはそれぞれ異なる特徴を有している。
新製品はその特徴として、基本的なSMUとしての機能に加え、高速なパルス生成やデジタイザとしての機能などを、1Uサイズに集約している。また最大で20チャネルまで測定能力を拡張可能で、キーサイトの担当者は「従来の一般的なSMUに比べて約20倍まで密度を高めることができている」とする。
さらに同製品のメリットとして、測定システム構築の簡素化が挙げられた。通常、複数のSMUを組み合わせて測定を行う際には、その動機のためにプログラムを組む必要などが生じ、業務負荷となっていたとのことだ。
しかしPZ2100シリーズの発売に合わせ、キーサイトは、電流や電圧の測定を容易に実行する「PathWave I/V曲線測定ソフトウェア」をリリース。同ソフトウェアを利用すれば、機器とPCを接続することですぐに特性評価システムが構築できるため、プログラミングに要する労力を削減できるとする。また、1台のSMUで複数電源の測定を行えることにより、50ns未満のタイミング精度で同期して測定できる点も強みだとしている。
同社のブース担当者は、多くのチャネルを使用した測定が必要な研究開発や設計段階から、より大量のスループットが求められる量産時まで、「生産の段階に応じて最適なSMUとしての役割を果たすことができる」ことを新製品のメリットに挙げる。また、通常は1チャネル~2チャネル程度のSMU製品において、最大20チャネルまで拡張可能な同製品は市場においても特異的だとしたうえで、「これをラックに積み上げることで、その分だけ多くのメリットを提供できる」と強みをアピールしていた。