バイデン米政権は7月21日、責任あるAIイノベーションを推進する政府方針について具体的な指針を公表、それらに従った取り組みの実施に生成AIを手掛ける米国の主要7社が合意したと発表した。同政権はまた、政府指針に一定の法的拘束力を持たせ、産業全体の取り組みに広げるための大統領令を策定していることを明らかにした。
バイデン政権は今年5月に、安全とセキュリティを確保しながらAIの技術革新を促す政府方針を発表、安全性を確認する基本的な責任を企業が負うことを明確にするとともに、Anthropic、Google、Microsoft、OpenAIのCEOをホワイトハウスに招いて政府方針に従った取り組みを求めていた。
21日に合意したのは、Amazon、Anthropic、Google、Inflection、Meta、Microsoft、OpenAIの7社。「安全」「セキュリティ」「信頼」の3つをAI開発で優先する基本原則として、以下のような取り組みを行う。
- 安全性の確認:AIシステムをリリースする前に、内部および外部(独立した専門家を含む)でのセキュリティ・テストを実施。AIリスクの管理について、業界および政府や学会、国民と情報を共有する。
- セキュリティ優先のシステムを構築:サイバーセキュリティと内部脅威への安全対策に投資。AIシステムの脆弱性への対策に、第三者も関わる取り組みを行う。
- 国民の信頼を得る:電子透かしシステムなど、AIによって生成されたコンテンツを示す仕組みを開発・導入する。AIシステムの能力、限界、適切な使用領域と不適切な使用領域などに関する報告書を公開。偏見や差別、プライバシー侵害などAIシステムが社会にもたらす可能性があるリスクの研究を優先する。
合意は企業による自主的なコミットメントであり、現段階で法的拘束力や罰則はない。米政府は、生成AIシステムの開発およびサービスをリードする主要7企業に業界全体を導く牽引役を期待している。その上で、バイデン大統領は安全にリスクを管理しながらAIイノベーションを実現するために「いくつかの新しい法律、規制、監視が必要である」としており、超党派による法案を求めている。そうした米国内の施策と並行して、同盟国やパートナーと協力し、AIの開発と利用を管理する強力な国際的枠組みの確立を目指す。