中国の半導体工業会である中国半導体工業協会(CSIA)は7月19日、「半導体産業の世界的な発展の維持に関する声明」と題した声明文を中国語ならびに英語で発表した。
それによると米国政府の対中半導体輸出規制の強化は、半導体の世界的なサプライチェーンの分断につながるだけでなく、世界市場の健全性と繁栄を危険にさらす可能性があると指摘しており、半導体産業のグローバル化を守り、業界における国際協力を促進するために協力することを呼びかけている。半導体産業のグローバル化ならびにサプライチェーンの分断への危惧などは、先行して米国半導体工業会(SIA)も声明文を出しており、珍しく両者の意見が一致している。
CSIAの声明文(英語版)をまとめると、複数の米国の大手半導体企業が、中国に対する貿易制限の拡大を回避し、国際協力を促進するよう米国政府を説得しようとしていることが判明したとしているほか、SIAも米国政府による対中半導体輸出規制の制限強化に対する声明を出すなど、米国政府による通商政策決定の方向性に対する米国半導体業界を代表する形で懸念を表明していることを指摘。半導体産業は、長年にわたって世界各国・地域の協力のもとで革新と繁栄が続いてきたことから、グローバル化の見本となっており、中国でも巨大な市場が形成され、そうした市場の存在が長年にわたる電子製品やIT機器の世界的な供給を支え、途上国を含む世界の人々の幸福を支えてきたとし、そうしたグローバルサプライチェーンに障害が生じることは、世界経済に負の影響をもたらす可能性があるとし、そうした負の影響は世界的なサプライチェーンの分断につながるだけでなく、世界市場の健全性と世界経済の繁栄を危険にさらすことにもなるとしている。
また、米国の半導体産業が現在の半導体産業をけん引してきたことに触れ、その存在が重要であるとする一方、近年の米国政府による貿易の制限が半導体サプライチェーンに混乱をもたらし、世界の消費者の利益が損なわれ、結果として米国の半導体産業の競争力に影響を及ぼし、それが半導体産業のグローバル化に影響をもたらす可能性を指摘。CSIAとしては、中国の半導体産業はグローバル化に根ざし、グローバル化によって発展してきたとしており、オープンな協力のもと、半導体産業のグローバル化を守り、業界における国際協力を促進するために政府や当局を支援するために、業界と協力する意欲のあるすべての国や地域と協力していくのと同時に、中国の半導体産業も革新を続け、競争力を向上させ、世界のパートナーと協力して発展し、進歩していくとしている。