ピュア・ストレージ・ジャパン(以下、ピュア・ストレージ)は7月20日、ITとサステナビリティの取り組みについて理解度調査を実施したとして、同調査結果に関する記者説明会を開いた。調査には、売上1000億円以上の企業に勤める会社員および役員のうち、サステナビリティ業務に関与する20代から60代の男女220人が参加した。

日本のDXにおいてまだまだサステナビリティの認識は低い

調査の結果、経営陣がサステナビリティに最優先で取り組んでいるという回答は、わずか30%だったという。また、サステナビリティを「CSR(企業の社会的責任)的な位置づけに置いている」とする回答は52.7%だった。9.5%は「PRキャンペーンのように扱っている」と回答した。こうした結果から、サステナビリティはまだ多くの組織にとって最優先事項とはなっていない状況がうかがえる。

  • サステナビリティに最優先で取り組んでいる企業は30%にとどまるという (資料:ピュア・ストレージ)

    サステナビリティに最優先で取り組んでいる企業は30%にとどまるという (資料:ピュア・ストレージ)

サステナビリティの取り組みにおけるITの役割を聞くと、42.7%が組織のサステナビリティ目標を検討する際に技術インフラの優先度は低いと回答した。また、技術インフラを導入する際に二酸化炭素排出量や電力消費量を重視すると回答したのは、わずか38.6%だった。ベンダー選定においてサステナビリティは最優先事項でないとする回答は、65.5%である。

  • 65.5%がベンダー選定においてサステナビリティは最優先事項ではないと回答した (資料:ピュア・ストレージ)

    65.5%がベンダー選定においてサステナビリティは最優先事項ではないと回答した (資料:ピュア・ストレージ)

企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際にも、まだサステナビリティに関する取り組みは進んでいないようだ。DX推進においてサステナビリティが最優先事項であるとの回答は、わずか37.7%にとどまる。また、DXを進めるにあたりサステナビリティを「適切に考慮している」とする回答は32.7%だ。

  • DX推進でもサステナビリティは最優先事項ではないようだ (資料:ピュア・ストレージ)

    DX推進でもサステナビリティは最優先事項ではないようだ (資料:ピュア・ストレージ)

これらの調査結果を受けて、ピュア・ストレージの代表取締役社長の田中良幸氏は「データセンターや技術インフラは、実は意外と簡単に企業のサステナビリティやDX活動に大きく貢献できる余地がある。このことにまだ気付いていない人も多いだろう。企業がサステナビリティ目標を達成するには、高い効率性と拡張性、信頼性、シンプルさを特徴とする持続可能なITインフラが求められるが、当社はその要求に対応する製品とソリューションを提供していると自負している。サステナビリティの観点でも真正面から日本市場に向き合って今後も活動していきたい」とコメントしていた。

  • ピュア・ストレージ 代表取締役社長 田中良幸氏

    ピュア・ストレージ 代表取締役社長 田中良幸氏

ピュア・ストレージが貢献するサステナビリティへの影響とは

説明会には米ピュア・ストレージでCTO(最高技術責任者)を務めるRob Lee(ロブ リー)氏も登場し、同社の製品がもたらすサステナビリティへの影響を語った。同社はストレージが使用するエネルギー消費量の削減によってサステナビリティに貢献し、気候変動やエネルギー資源の高騰に対応する方針だという。

  • 米ピュア・ストレージ CTO Rob Lee氏

    米ピュア・ストレージ CTO Rob Lee氏

現代は、世界の消費電力において、データセンターにおける消費が約1~2%占めているとされる。また、データセンターの電力のうち20~25%をストレージが消費しているとのことだ。ことさら日本においては、国内の消費電力のうちデータセンターでの消費が占める割合が2%を上回っているという。生成されるデータの量が増加していることは言うまでもなく、データセンターの消費電力が関わる影響は今後さらに顕著になると予想できる。

エネルギー効率とスペースの効率は、今後のテクノロジー導入の選択において重要な役割を持つ。アメリカの上場企業のうち約半数が長期的なエネルギー削減目標を設定していることに加え、欧米企業のサステナビリティ担当者の86%が「サステナビリティ目標の達成には技術インフラのエネルギー消費量の大幅な削減が必須」と回答した調査もある。

  • 欧米ではエネルギー効率・スペース効率がテクノロジーの選択に大きな影響を与えているという

    欧米ではエネルギー効率・スペース効率がテクノロジーの選択に大きな影響を与えているという

これに対し、同社は製品のエネルギー効率の向上によって寄与する。ロブ氏によると、同社製品およびソリューションは他社のオールフラッシュ製品と比較して、消費電力、スペース、冷却効率を約80%改善している特徴を持つのだという。

同社がサステナビリティに対応するためのテーマは「優れたエネルギー効率」「電子廃棄物の削減」「サステナブルなデータセンター」の3つである。これにより、顧客企業が掲げるサステナビリティ目標達成を支援するそうだ。

同社製品とHDDを比較すると、消費電力と占有スペースは5分の1以下だという。他社のオールフラッシュ製品との比較では、最大で約5分の1ほどだ。また、製品の信頼性を高めることで、予備の部品や管理のための人的コスト削減にも貢献している。従来製品よりも寿命が2~3倍ほど長いそうで、電子廃棄物を最大85%削減できているという。

  • サステナビリティに資するオールフラッシュのデータセンターも実現できるとしている

    サステナビリティに資するオールフラッシュのデータセンターも実現できるとしている

「当社は今後も継続的にエネルギー効率の向上に取り組み、お客様にアドバンテージを提供していきたい。具体的にどこで電力を消費しているのかを把握できていない企業も多いと思うが、当社はサブスクリプションモデルであるEvergreenを提供することで、スペースやエネルギー消費を保証して、お客様のサステナビリティ目標達成を直接サポートしていきたい」(ロブ氏)