Intelは7月11日、中国にてAI戦略説明会を開催し、同社のAIアクセラレータ「Habana Gaudi2」を同国内にて販売することを明らかにした。
Gaudi2のディープラーニングアクセラレータおよびメザニンカード「HL-225」は大規模言語モデルの動作を高速化する設計が施されており、以下のような機能を備えているとする。
- 24個のプログラム可能なTensorプロセッサ コア (TPC)
- 21個の100Gbps(RDMA over Converged Ethernet:RoCEv2)イーサネットポート
- 96GBのHBM2eメモリ
- 合計メモリ帯域幅2.4TB/秒
- 48MBのオンチップSRAM
またIntelでは、Gaudi2のパフォーマンスを完全に活用するためのソフトウェアサポートの作成にも取り組んでいると説明しており、同社のEVPでデータセンター・AIグループのGMを務めるSandra Rivera氏は「Intelは顧客に幅広いハードウェアの選択肢を提供し、オープンなソフトウェア環境をサポートすることで、人工知能技術の開発を加速することに尽力している。プロセッサやGaudi2アクセラレータを含む製品ポートフォリオを拡大することで、AIへの参入障壁を下げ、クラウドやネットワーク、インテリジェントエッジにおける顧客の能力強化を促していくことで、中国におけるAIの未来に貢献していく」とその取り組みは中国でも変わらないとしている。
先行するNVIDIAにIntelは対抗できるのか?
今回のIntelの動きを受けた一部の台湾メディアからは、米国政府がNVIDIAの中国向けGPU「A800/H800」に対するさらなる輸出制限を検討しているという憶測を踏まえ、Intelが好機と見て、第4世代Xeonスケーラブルプロセッサを中核に、中国顧客向けに調整されたAIアクセラレータを提供することにしたとの分析記事がでている。
AIのコンピューティング能力がテクノロジー起業の競争力を高める争点となってきており、中でもNVIDIAのGPUは、性能の高さから注目を集め続けてきた。また、AIアプリケーションの開発においては、中国は積極的な姿勢を見せ続けており、そのため中国市場を過小評価することはできず、そうした巨大市場を逃すまいと多くの半導体メーカーが行動を起こしても不思議ではない。
現在、中国内で独自GPUの開発が噂されているが、短期的にNVIDIA A800/H800を置き換えるといったことは見込めないという。中国の業界関係者によると、中国内で製造されたGPUの性能は、NVIDIA A100の70%ほどであり、使い方によってはさらに性能が低下する可能性もあるという。
中国内では、米国政府による規制強化によってNVIDIA A800の販売が禁止される可能性が取りざたされた後から買い占めが横行し、単価は2週間で9万元から11万元まで急騰したというが、それにも関わらず需要は高止まりしており、納品までのリードタイムは少なくても3か月という話もでているとする。
Intelの今回の取り組みに応じて、Baidu、Inspur、Meituan、H3C、xFusion、Huaqin Telecom Technologyなどといった中国の主要顧客が支持を表明したとされているが、中国のAI企業の多くは、NVIDIAの製品と比べた際のパフォーマンスに対する懸念があることから、自社のAIモデルをNVIDIAからIntelに切り替えることに躊躇しているという話もあるという。