Samsung Electronicsのファウンドリ事業であるSamsung Foundryの稼働率が上昇していると韓国メディアが報じている。

それによると業界関係者の情報によるとしているが、主力の5nmならびに7nmプロセスの合計稼働率が90%に達したことが確認されたという。2022年末の時点では60%台であったことを踏まえると、大幅な向上と言える。中でも5nmプロセスに限れば80%前後となっており、歩留まりの向上もあり、顧客からの注文が増加している模様だという。けん引役は人工知能(AI)と車載用途で、2023年下期で、上期の落ち込みをどれだけカバーできるかが注目される。

4nmの歩留まりも75%以上に、3nmは60%程度

一連の報道によると、Samsungの4nm FinFETプロセスの歩留まりは75%以上にまで到達しており、データセンター分野の重要顧客からの受注の獲得に至った模様だという。また、同社最先端の3nm GAAプロセスも歩留まりが60%にまで到達。韓国の半導体業界関係者からは、TSMCに奪われた顧客を再獲得できるのではないか、といった観測もでている。

また、Samsung Electronicsファウンドリ事業部社長のSiyoung Choi(ション・チェ)氏が、7月上旬に韓国ソウルで開かれた「Samsung Foundry Forum(SFF)2023」にて、2/3nmプロセス向け半導体設計に活用される「PDK (Process Design Kit)」の最新改訂版(PDK Prime)を下半期に有力顧客に配布すると発表した。半導体ファブレス企業が効率的に半導体の設計ができるように支援することで、微細プロセスにおけるファウンドリエコシステムの強化が目的だとしている。

PDK Primeには、設計時間の短縮を図れる3項目と設計精度を高める2項目、PDKの使いやすさを高めた2項目が含まれるとしており、これらを活用することで、トランジスタなど半導体内部素子の電圧が規格内で設計されているかを10分以内に確認できるようになり、定格電圧検査時間を従来比で90%以上短縮できるという。

なお、Samsungでは2025年の量産開始を目標に2nm GAAプロセスの開発を進めている。すでに同社は3nmよりGAAプロセスを採用しているため、競合他社に比べてGAAプロセスに対する知見の蓄積が進んでいることから、2nmの歩留まりはスムーズに向上していくことが期待されており、PDK Primeによる顧客企業による半導体設計の効率化を併せて進めることで、製造との相乗効果を出したいとしている。