鹿島は7月19日、AI(人工知能)とドローンを組み合わせた新しい資機材管理システムを、AI insideと共同開発したと発表した。新潟県長岡市の工事現場で資機材管理に適用し、作業時間を約75%削減したという。
新システムは、ドローンと画像の識別が可能なAIを組み合わせたもの。学習データ準備、ドローンによる現場撮影、AIによる解析と結果出力という流れとなる。
学習データ準備では、ドローンが撮影した空撮画像を使い、AIに現場内の資機材の名称と形を学習させる。AIモデルの構築には、AI insideが提供するAI統合基盤である「AnyDate」を採用した。
ドローンによる現場撮影では、現場内の動画撮影を行う。一定の高度から撮影し、その空撮動画とドローンの飛行記録をPCに取り込む。
解析と結果出力では、学習した結果を基に、撮影した空撮動画と飛行記録からAIが資機材名称と位置を推定する。その結果を現場3Dモデルに取り込むことで、資機材の位置を現場3Dモデル上に表示する。
同システムにより、ドローンによる空撮動画からAIが資機材の名称と位置を検出し、現場3Dモデル上への可視化が可能になったという。
現在、人と同程度の大きさの資機材であれば概ね検出できているといい、検出可能な資機材は25種類に上る。また、個別の管理を行いたい資機材については、プラカードを使用した識別によって法定点検日などの管理が可能。
現場3Dモデル上に資機材の位置を可視化することで、広大な敷地の現場でも資機材の管理を効率的に行うことができるという。これにより、活用していない資機材も判別できるため、そのような資機材があれば返却するなど、無駄を省くことにもつながる。
同システムの効果を検証した結果、従来の作業と比較して、資機材管理の作業時間を1回あたり約2時間から30分へと、約75%削減できることを確認したとしている。
なお同システムは、2022年度の国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)」に採択され、今回、その有用性を確認・検証したものとのこと。
今回適用した工事現場は、新潟県長岡市における国土交通省北陸地方整備局発注の大河津分水路新第二床固改築I期工事。
同社は今後、システムの資機材の検出精度を向上させると共に、手で持ち運べる小さい資機材の検出率向上に取り組んでいく。また、同工事で構築したAIモデル(資機材学習モデル)は、他の現場でも使用できるといい、全社への展開も視野に入れているという。
さらに、同システムと、同社の多くの土木現場で利用が進んでいるという現場可視化統合管理システムである「Field Browser」との連携により、さらなる現場業務の効率化を目指す。
これらの技術を発展させることで、建設現場のDX(デジタル・トランスフォーメーション)をさらに推進していく予定だ。