大丸松坂屋百貨店やパルコなどの持株会社であるJ.フロント リテイリング(以下、JFR)。リアル店舗の運営に長けた同社が、プロesportsチーム「SCARZ(スカーズ)」の運営を行うXENOZ(ゼノス)に出資し、esports業界に参入していることを知る人は多くないだろう。なぜ、スポンサー契約ではなく、本格的にチームに関わる選択をしたのか。JFRはesportsにどんな可能性を見出しているのか。JFR から出向し、XENOZ 代表取締役副社長を務める柏木敏弘氏に話を伺った。

  • XENOZ 代表取締役副社長の柏木敏弘氏

JFRが目指すのは「若い世代のコミュニティづくり」

「JFRは今、従来の百貨店や商業施設の運営に加え、新しい“芽”を見つけるための出資や業務提携を進めている」と柏木氏は切り出した。その背景には、同社が持つ顧客基盤の年齢層が上がってきているという事情があるという。次世代の顧客へのアプローチ、認知度向上を意識し、VRやNFTアートといったデジタル分野への投資を積極的に行っているのだ。その1つが、esportsへの投資である。

「JFRはグループビジョンに“くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。”を掲げています。暮らしの中にある新しい接点で事業領域を拡大し、感動を提供していくという考えに基づき、esportsへの参入が候補に上がりました」(柏木氏)

esportsはデジタル空間で若者のコミュニティを創出し、新たな居場所という価値を形成するものとして、1つの文化になりつつある。これが、JFRが考える「若い世代のコミュニティづくりがしたいという思いと合致した」(柏木氏)そうだ。

一方で、「なぜesportsなのか」「リアルな接点を持てる分野への投資の方が良いのではないか」という声がなかった訳ではない、と同氏は明かす。

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