東日本電信電話 群馬支店(以下、NTT東日本)と生パスタブランド「Japastalia(ジャパスタリア)」を運営する吉田製麺は5月13日、無添加生麺(生パスタ)の電圧冷蔵保存について検討するための実証実験を開始することを発表した。

電圧冷蔵保存とは、0度以下の冷凍温度帯において食物に高電圧の電気エネルギーを加え続けることで、冷凍させずに保存する方法だ。冷凍温度帯での保存と、高電圧の印加によって発生する微量オゾンの働きにより、食物の腐敗や劣化を引き起こす菌の活動を抑制するため、長期保存が可能だという。

  • Japastalia

    Japastalia

保存料や香料や着色料などの添加物を用いずに製麺する生パスタは、色合いなど見た目の変化が乾麺に比べて速く、出来立てを出荷するために現在吉田製麺では週3日ほどの製麺作業を実施しているとのことだ。

電圧冷蔵技術によって鮮度や美味しさを保った状態で生パスタの保存期間を延ばすことができれば、出荷や消費の状況に合わせた臨機応変な製麺に対応できるため、食品ロスの削減が見込める。さらに、長期間の品質維持と長距離輸送が実現すれば、生パスタの販路拡大も期待できる。

そこで両社は、氷感庫(電圧冷蔵技術を備えた専用の保管庫)を用いて生パスタの長期低温保存に伴う変化と保存可能期間を、定性と定量の両面から評価し、現状は賞味期限が2週間の生パスタを出荷しているところを、製麺後6日間の電圧冷蔵保存を経ても品質が保持されていることを実証によって確認する。

  • 電圧冷蔵庫

    電圧冷蔵庫

今回の検証を通して、吉田製麺は生パスタの販路拡大による「パスタの街たかさき」の盛り上げと、生パスタの売り上げ増を目指す。一方のNTT東日本は、品質保持期間の延長による食品ロスの削減や、加工品においても電圧冷蔵保存が有効であることの実証を通じて、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の活用による産業課題の解決と新たなビジネス機会の創出を図るとしている。