新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本電気(NEC)、富士通は7月12日、ポスト5Gに向けた基地局装置間の相互接続性検証の大幅な効率化に成功したことを発表した。

  • 同事業の概要と成果

    同事業の概要と成果

NECと富士通は、NEDOが実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、ポスト5Gに対応した基地局装置(O-RAN仕様準拠)間の相互接続性を検証する技術の研究開発に取り組んでいる。

両社は、O-RAN市場として期待される英国と米国の拠点で接続性の検証環境を構築。2021年8月から2023年6月まで、NECの英国の拠点と富士通の米国の拠点において、海外を含めたさまざまなオペレーターが実際の商用環境で使用するプロファイルや基地局装置ベンダーの組み合わせで動作検証を行い、異なるベンダーの基地局装置(O-RAN仕様準拠)間の相互接続性の検証作業の効率化を実現する技術の開発に取り組んだ。

NECと富士通は、O-RANフロントホールでのさまざまなベンダーの基地局装置間の相互接続性の検証作業を自動化する技術を共同開発し、各国や地域のオペレーターが実際に使用する接続条件に対応するための機能拡張を行った。この技術には、基地局装置間に接続してフロントホールプロトコルを検証するFHA、無線子局(RU)の単体試験を行うP-DU、検証作業の各工程を自動化するテストシナリオ抽出ツール、テストパラメーター変更ツール、検証結果判定ツールなどの独自技術が含まれる。

同技術を両社の英国および米国の拠点において、欧州および北米のオペレーターの実際の商用環境を想定した動作条件と、異なるベンダーの基地局装置の複数の組み合わせでO-RANフロントホールにおける相互接続性を検証した。その結果、最適なテストシナリオやパラメーターの生成から検証結果の良否判定までの一連の流れを自動化することにより、従来の手動による検証作業に比べて、海外のオペレーターの商用環境を想定した異なるベンダーの基地局装置間における相互接続性の検証時間を30%以上短縮することに成功したという。

この技術を適用することにより、相互接続性検証の時間を短縮することが可能となり、オペレーターが、異なるベンダーのO-RAN仕様に準拠した基地局装置を組み合わせたシステムを導入するまでの時間を短縮できることから、現在普及している5Gネットワークにおけるオープン化の進展に加え、将来のポスト5Gの展開を見据えた新たなネットワーク構築にも貢献するとしている。